Dr. Tashiro のマジックレポート (No.3)

横浜マジカルグループ
第37回マジックフェスティバル

 日時:2000年2月11日 13:30開場 14:00開演
 会場:横浜市教育文化センターホール


はじめに

 12:30頃より、お客さんが集まり出したとのこと。私が13:40分頃に会場に到着すると、お客さんはロビーの中で2列になり蛇腹状に整列していた。外が寒いからという配慮があってのことか、ずっと2列でまっすぐ並ぶということはなく、暖かいロビーの中に幾重にもおりたたまって並ぶ、悪くいえばすし詰め状態になることを強いられた。開場時には列の先頭から1ヶ所の入り口からホールの中へ誘導された。しかし、列が蛇腹状なので、後ろの方は列がごちゃごちゃになり、結局団子状態でホールに入ることとなった。それだけ盛況であったということだが、誘導にもう少し留意されないと今後はけが人が出る恐れもある。
その他、全般的には大変によかった。特に照明は相当工夫しているのではないかと思われた。その反面、音楽・音響はよくなかった。全般に司会のマイクの音は大きいが音楽が小さかったように思われたし、その音楽の録音状態が綺麗ではなかった。構成もよかった。会場内でのフラッシュ撮影、ビデオ録画はお断りします、というアナウンスは構わないが、「見つけ次第取り上げます」というのは物騒だろう。また、実際演技中フラッシュが光ってしまったが、どういう対応をとられたのだろう。尚、司会は、3〜4人の演者をまとめて紹介する形式。もう少し演者の紹介がくわしくてもよかったのではないか。途中、祝電の紹介もあった。
また、この会は入場券を手に入れるのが難しいことでも知られるが、私が見ていたら受付にきた3人の男性に、受付の女性がすんなりチケットを渡しているのを目撃した。(明らかに、何の連絡・予約もなくふらっときて、チケットを要求して、すんなりもらった、という風であった。)もし、事実がそうでないにせよ、周りにいた大勢の人は私と同じように「誤解」しただろう。 
それでも、2000年の幕開けに「マジック界のトップをきって」開催されたこの発表会は、マジックもハイレベルであるだけでなく、榊原会長を中心に暖かい気持ちで心を一つに努力されている会員の皆さんのご様子が印象的であり、とても気持ちの良いものであったことにかわりはない。春がきたなと思わせる穏やかな日差しの中で心温まる会が催され、それに私も参加出来たことを感謝するような気持ちになって家路についた。

スティングのコメント:

田代茂さんがYMGの発表会をご覧になるのは初めてでしたが、今回も詳細なレポートをお寄せいただきました。個々の演技に対する感想も興味深いですが、開演前の状況等のご指摘は、大変貴重なものであり、とても参考になりました。

入場整理券の配布については、会としてもかなり注意を払っています。本来であれば、希望される方全員に配布したいのですが、会場の定員を超える状況が予想されるため、止む無く入場制限をしているのが実情です。従って、整理券を持たない方が来場された場合、当日の座席に余裕が出来た場合に限り、入場していただき、定員超過の場合は入場をお断りするというシステムをとっています。

今回、この辺りの対応が会として適切であったかについては、反省の余地があり、来年以降の改善につなげたいと考えています。

プロローグ
(渡辺圭悟、石崎宏美、関水佳郎、二谷龍夫、今東和夫)

 植木將一氏指導。新人5人によるリレーマジック。5人が舞台に並んでいる。

(1)第一演者:CDをケースに入れる。ケースは横方向の格子があり、入れたCDが見えている。それが突然消える。消えたCDは上着のポケットから出てくる。このCDが3枚に分裂する。(2枚は左右の演者に1枚ずつ渡す。)

(2)第二〜第四演者:CDをそれぞれ袋に入れる。袋は、赤、黄、緑。CDを取り出すと、それぞれの封筒の色と同じ色にCDの色が変わっている。

(3)第五演者:CDを封筒に入れ、真中の穴(封筒とCD)にシルクを通す。この状態で、CDを取り出す。

(4)5人全員:CDをそれぞれ台形の封筒の中に入れる。(上の短い辺(上底部)から入れる)。そのままCDを下(下の長い辺(下底部))から取り出すと、CDは大きくなっている。封筒の両サイド(脚の部分)をはがして、パタンとひらくと(封筒の内部が見えることになる)、それぞれ、「2」、「0」、「0」、「0」、「年」と書かれている。

感想:

 レコードがなくなり、以前盛んだったレコードマジックがすっかり廃れてしまった。CDはCDでレコードとは異なった素材感もあり今後も色々な工夫が期待できそうである。ただ、レコードほど馴染みがないこと、小さいことがあり、工夫が必要だろうし、将来的にはCDもなくなってしまうかもしれない。色の変化も光るのでいくらかわかりにくいような気もする。「2000年」というメッセージが出ると、会場はどよめきが起きた。よい演出とはこういうものだと思った。

スティングのコメント:

プロローグの新入会員によるリレーマジックというのは、YMG恒例のスタイルです。今回のテーマはCDでしたが、手順構成、道具の製作、演技指導等、植木將一さんが大変苦労されました。ジャンボカードのクラシックな作品をヒントにCDの素材を活かしたオリジナルな手順になっています。特に、「2000年」のメッセージが出てくる演出は大好評でした。

第1部

1.リングの舞 (丸山洋子)

 6本リングをあらため、3本はスタンドへ。残った3本で、リングをつなげたりはずしたりの現象を見せる。買い物カゴや「三ツ和模様」などの造形も見せた後、3本のつながったリングを一気にばらばらにする。(左右の腕に1本ずつかけ、両手で1本をもち、計三本のリングを示す。)ここでスタンドの残りの3本を取り、5輪や6連といった造形を示す。最後は、6本が全てばらばらになったことを示す。

感想:

 すっきりとした、標準的な手順構成。危なげなく演じておられた。ただ、最初スタンドにかける3本は、後見が受け取るといった演出をされた方がいいのではないか?最後の6連から、6本がばらばらになるまでのところが、やや説得力に乏しいような気がした。

スティングのコメント:

初舞台とは思えないほど、しっかりした演技でした。練習の成果が十分出ていたと思います。手順構成は当初、造形のパートが多かったのですが、全体の流れから今回の手順に落ち着きました。

2.おちょぼくち (中沢克孝)

 2本の筒を示し、1本ずつ計4本のビールビンが出る。さらに紙テープが出る。出てきたビールビンのうち1本を新聞紙で包み半分に割ると、2つのくす玉とその中央に大きなスカーフが現われる。

感想:

 あっさりとしていて、飽きさせない演技であった。「おちょぼくち」とはビールビンの口のことであるという。

スティングのコメント:

途中、筒からテープが顔を出してしまうというアクシデントがありましたが、慌てずに最後まで演じきりました。タイトルについては、首をかしげる人が多かったようです。

3.憑依 (佐竹一基)

 風船をもって登場。風船が割れると赤いシンブルが4本指に現われる。これらを捨てると白いシンブルが4本現われる。1本のシンブルで出現・消失現象。そうこうするうちに、赤く光るシンブルが4本現われる。4本の指先に光るそれらのシンブルが演者の顔に向かって襲い掛かろうとする演技を見せる。最後は赤いシンブルが両手で8本現われる。

感想:

 題名からも感じられるが、途中からややオカルト的な演技となるが、演出意図がはっきりとは伝わらなかった。最初に割れた風船にどういう意味があるのかなど、理解しにくい部分が目に付いた。それでも、ベースになるシンブルの技術がしっかりしており楽しめた。

スティングのコメント:

YMGの演者の中では異色のキャラクタであり、一風変わったシンブルの演技でした。独特の演出については、賛否両論でしたが、二川滋夫さんからは「とても面白かった」という感想をいただきました。

4.Hello 2000 (田中雅章)

 1枚ずつ5枚のカードを消して見せるなど。ファンカードの手順。S字ファンや、腕に並べて空中でカードを取ったりする演技。カードカスケードを見せ、2回目にはカードがみな糸でつながっていることを見せて終わり。

感想:

 技術もしっかりしていたせいか、ファンカードの造形でしっかり拍手をもらっていた。最後にお客さんをどっと沸かせて終わるところも後味がよかった。今後が楽しみな若手マジシャン。

スティングのコメント:

昨年の四つ玉に続いて、カードマニピュレーションに挑戦しました。今回は立ち上がりが遅かったのですが、猛練習の成果もあって、本番近くなって急速に上手くなったのに驚きました。嫌味のない爽やかな笑顔がとても印象的なステージでした。

5.ワイキキの浜辺で (宮下賢一、宮下八重子、宮下智衣)

 お孫さんと共にご夫婦での出演。おそろいのハワイアン調の衣装がうきうきした気持ちにさせてくれる。(1)まずは、お孫さんによる風船の造形。八重子氏が順番に風船を手渡す。やしの木と猿、プードル、他にもう1つ、次々にテンポ良く造形がなされていった。(2)透明な風船を示す。赤いシルクが手の中で消えると、その瞬間にシルクは風船の中に入っている。(3)シルクが飛びこんだ風船に針を刺すが風船は割れない。最後に風船を本当に割って終わる。(4)賢一氏。透明な風船の中に2色のシルクが入っているのを示す。このような風船が2つあり、合計4枚の(4色の)シルクが見える。テーブルの上にはお盆が乗っており、その上に筒が置いてある。この筒の中に2つの風船を入れる。風船が割れる。お盆を持って上を見ると、(風船の中にあった)シルクがある。このシルクを手に取ると、4枚がつながりチェッカー模様(市松模様)となっている。

感想:

 風船の造形は最近大変目に付く。マジックのルーティンの中に組み込む場合にはよほど演出を工夫しなければいけない。最後のマジックは、よく考えてはあるけれど、テーブルの上で演者が何かをしているのが見えるだけで、演技がはっきりしなかった。

スティングのコメント:

お孫さんのカワイイ演技が大好評でした。また、3人お揃いのハワイアン衣装と音楽が、ほのぼのとして楽しい雰囲気を醸し出していました。

6.1・3・1・4 (植木將一)

 コーン(銀)とボール(白)。(1)コーンのてっぺんにウオンドを突っ込むと、コーンがウオンドにくっつく。(2)シルクとボールの扱い。ボールの出現・消失現象。(3)テーブルに置いてあるコーンの下に消えたボールが戻る。数回繰り返して見せる。(4)赤いボールをコーンに入れる。コーンの中身を出すように空中でコーンを振ると赤いラメの紙ふぶきが散る。

感想:

 ステージでやるのには向かない。私は今回最後部に近い座席から観覧していたためもあって、演技がはっきりしなかった。もちろん、小さい部分を注視すればわかるのだろうが、私の周囲の大半のお客さんはそこまで見ていないようであった。最後のラメの紙ふぶきのところだけはっきりわかった。タイトルについては、後で司会者から説明があったが、はっきりわからなかった。(使った道具の数?)

スティングのコメント:

コーンとボールという作品は、道具や解説書が入手困難なこともあり、最近では珍しい演目です。今回も植木さんならではの考え方を盛り込んだ味のある手順構成でした。特に最後の意表をつく紙吹雪のスティールは、独創的なアイデアが隠されています。ちなみに、タイトルの由来は、使用した道具の順番を表しているんだそうです。ウォンド(1本)、コーン(3角)、ボール(1個)、シルク(4角)。

7.赤い家 (須藤登美男)

 パネルに家の線画が描いてある。不動産屋のような演技で会場を沸かせる。「この家の屋根を赤くしましょうか?壁を赤くしましょうか?」と会場に尋ねる。「屋根を」というところを強調したために会場のお客さんは「屋根を赤くして!」と答える。そこで、パネルをひっくり返すと、屋根の一部が赤くなっている。「それでは今度は、この家の屋根を赤くしましょうか?壁を赤くしましょうか?」と、会場のお客さんに尋ねる。今度は「壁」に強勢をおいて言う。そこで会場のお客さんは「壁を赤くして!」という。会場は笑いにどよめく。「ああよかった。お客さんがいつまでも『屋根を赤くしろ』と言い続けたために、30分以上先に進めなかったことがあります。」などといって笑わせる。絵は90度回転させると「だまし絵」のように、今まで屋根だったように見えていたものが壁に見え、逆に今まで壁のように見えていたものが屋根に見えるように描かれている。お客さんのリクエストに応じてパネルを直角に回転させればよいのである。このことに気づき客席は沸く。さらに、演者は空中から突然赤いシルクを取り出してみせ、パネルをひとなでする。すると、パネルの上には立体的な家の模型が現れている。

感想:

 このパネルは商品だそうであるが、それを買ってきただけではこのような演技はできない。喋りながら、お客さんの反応をみながらこれだけひっぱっていくには相当経験を積まなければならないのではないか。「不動産」といった素材ではなくもう少しスマートな素材を考えられるとさらに馴染みやすい演技になるのではないか?

スティングのコメント:

この須藤さんのおしゃべりマジックは、多くの観客のみなさんから絶賛された演目です。練りに練ったセリフと絶妙な語り口は、客席を大いに沸かせました。最後に立体的な家の模型が出現する手順は、今回の練習過程で完成したものです。

8.絹の調べ (菅野一夫)

 (1)シルクの振り出し。(赤、緑)シルクは胸ポケットへ。赤いシルクを手にとって消す。胸の緑のシルクをとると、2枚の緑のシルクの間に赤いシルクが結ばれている。(2)ボトルに筒をかぶせる。筒の高さはボトルの半分。シルクをかぶせ、シルクを取り除く。ボトルに何の変化もない。両手でボトルを挟むように持つと目の前でボトルは消えてしまう。(3)1枚の新聞紙に指で穴をあけていくと、5ヶ所から次々に5枚のシルクが出現する。(4)紅白染め分けのシルク4枚を改め、それが1枚のシルクになってしまう。(ブレンドシルク)

感想:

 (1)の20世紀シルクは詳細不明。当然2枚の緑のシルクと、1枚の赤いシルクを振り出したのだろう。(2)のボトルは、全体の流れに必ずしも馴染んではいなかった。(4)のブレンドシルクは最近大流行。(3)は古いけれど面白いマジックなのだから、もう少しテンポよく工夫して演じれば全体がもっとひきしまった印象になるだろう。

スティングのコメント:

ボトルの消失のトリックは意外性があり珍しいものですが、表現法が難しく、ご本人も練習中から苦労されていました。

9.シャイニング (堀常代)

 ピラミッド。あらための後、赤と黄色のシルクを取り出す。一度あらためてから、バネ花とスカーフを取り出す。さらにあらためてから、スカーフをピラミッドに入れると、たくさんのシルクがピラミッドより出てくる。ピラミッドは机の上に置く。くす玉の出現。(金銀ミックスのくす玉と、赤い銀色のくす玉。)金銀のくす玉が分裂し2つになる。金のくす玉、銀のくす玉を両手に1つずつもってポーズをとり、終了。

感想:

 難のない演技。あえていえば、スカーフをピラミッドに戻すところは、その理由がはっきりしない。また、最後のくす玉の出現はこちらがしっかり見ていなかったのではっきり現象がわからなかった。

スティングのコメント:

ピラミッドの演目も他の発表会では、なかなか観ることの出来ない珍しいものです。女性的な柔らかな雰囲気の中にもアクセントが感じられる好演でした。

10.ミステリーボックス (安彦洋一郎)

 (1)黄色い輪になったロープを持って登場。輪の中央に結び目をつくる。この結び目が小さい輪となり、取れてしまう。もう一度やってみましょう、といった思い入れでまた輪の中央に結び目をつくる。この結び目がやはり取れてしまうのだが、取れてしまった小さい輪が先ほどの小さい輪とつながってしまっている。(2)新聞の復活。4つ折りにして、中央を切り取る。(切り取った部分はダイヤモンド形になる。)その後、新聞は元に戻る。(3)鳩の出現。復活した新聞から鳩が出る。(4)人体交換。箱に入るのに2段の階段を使う。箱に入る女性は袋に入り顔を出す。首のところで巾着袋の口を絞るように紐をひっぱり、袋から出られないようにする。結んだ紐の上からさらにシルクを結びつける。以下はかたどおり、演者が箱の上に上がり、人体交換となる。

感想:

 前半は非常に手慣れた感じで、表情なども柔らかく見ていて疲れない。(1)で2つの小さい輪がつながるところは、芸が細かいが現象が散乱してしまう恐れもある。人体交換については、階段を使い出入りするので、箱の大きさが強調され、容易に出入りが出来ないことを印象づけるのに成功しており、不思議さが強まった。袋に入って紐で縛る部分も丁寧であった。「交換」の部分は少し手際が悪いように感じられた。また、BGMが小さいためか、がたんごとん、という音が非常に気になった。前半が流れるような演技であったため、ことさら目に付いたのかも知れない。

スティングのコメント:

前芸の部分は、独特の演技スタイルが人気の安彦さんらしい演技でした。大道具を使うイリュージョンは練習が大変なのですが、マジックショーでは欠かせない演目です。今回は、助手の人たちの頑張りぶりも目立ちました。

11.ニセん円 (鳥海正邦)

 (1)3枚の紙幣の出現。(2)3枚の紙幣を札入れに入れると、4枚に増える。(3)4枚の紙幣を数え、そのうち2枚を捨てる。残りは2枚になっているはずなのに、手元の紙幣はやはり4枚である。これを3度繰り返す。(4)フローティングマネー(クアドロ(英))。(5)紙幣を札入れに入れると、2つのジャンボ紙幣のファンが出現する。

感想:

 紙幣を使ったマジックは、一歩間違えると品がない印象を与えることになるが、氏の演技はすきっりまとまっていてよかった。(3)と(5)はUGMにて、欲張り紙幣、トリプルクライマックスとして、商品化されている。(4)は実演を初めてみた。紙幣がくるくる回転するところがあまりうまくいかなかったようだ。このようなルーティンの中でうまく生かせばそれなりに使えるネタだということがわかった。尚、紙幣マジックのタイトルに「ニセ」という言葉を入れるのはいかがなものか?

スティングのコメント:

ステージでのフローティングマネー現象は、私も初めて見ました。一見ありふれたトリックそうに見えますが、実は意外な解決法が隠されていました。

12.Fantasy Part XI (荒井稔)

 (1)ファンカードのマニュピレーション。数枚のカードを取り出し、その後ファンを取り出す。(2)マンモスカードがジャンボカードに変化する。その後、ジャンボカードのプロダクション。(3)赤いシルクが白いシルクに変化する。持っていた赤いケーンも白いケーンに変化する。白いケーンが2枚の白いシルクに変化。(4)パネルに描かれたサイコロの色が次々に変化する。(白→赤→緑)。(5)お盆の上でサイコロがスカーフに変化。スカーフからファンテンシルク。(6)シルクの振り出し。(紫、ピンク、白、紫、黄、小さな赤)(7)小さな赤いシルクが大きな赤いシルクに変化する。(8)小さい白いシルク2枚の間に大きな紫のシルクを結ぶ。ミラーチューブに入れて、取り出すと、両端の小さい白いシルクが大きくなっており、中央に結んだ大きな紫のシルクが小さくなっている。(9)使ったシルクを集めると、のべシルク(テープ)が流れ落ち、カードが飛び散る(ファンテンカード)。(10)S字形ファンの出現。

感想:

 (3)までは流れるようにすすみ、ケーンがシルクに変化すると歓声が沸いた。たたみかけるように見せていくことで、このように盛り上がりを作ることができるのだろう。(4)はマジックランド製か。テンポよく見せられると面白いものだ。マジックフレンドコンベンション(1999稔)で、マギー司郎氏が見せたものだと思うが、このような見せ方もよいものだ。(8)はやや考えすぎのきらいもあるが、会場の反応は思いの外よかった。最後のファンテンカードにも驚いてしまった。ややとってつけたような印象は否めない。S字形ファンについては、その意図がよくわからなかった。ジャンボカードサイズのS字形ファンであったが、既に形が作られており固定されていたように思えた。ファンテンカードからの流れで、このような演出になったのかもしれないが、あまりピンとこなかった。

スティングのコメント:

荒井さんのFantasy Part シリーズも今回で11回目となりました。研究熱心で、手順構成・音楽・照明だけでなく、練習方法にいたるまで独自の工夫をされています。

第2部

13.Shall we magic? (中村安夫)

 シルエットの状態で幕があく。ステージにはテーブルもない。ミステリアスな雰囲気の中、ゾンビボールは演者の体の周りを一周する。と、一転してステージは明るくなり、軽やかな「Shall we dance?」のBGMが流れる。スカーフの上にのったボールとダンスをする。ボールを手にとって終わり。

感想:

 「Shall we dance?」のBGMが流れると、会場がどっと沸いた。ゾンビボールの演技はこれまで100回以上見てきたと思うが、これほど会場が盛り上がった演技を見たのは初めてであった。オープニングのミステリアスなムードがよくきいており、演出のうまさが光ることとなった。テーブルも用いず、ルーティンもシンプルであり、その分現象がはきりわかった。とくに前半の現象の不思議さは強烈に印象づけられた。また、後半の楽しい演技で後味もいい演技となった。ダンス部分がやや単調であったことが気になった。

スティングのコメント:

映画音楽「Shall we dance?」をモチーフにして、ゾンビボールを演じるというアイデアは、第35回発表会(1998年)で試みたものです。今回は、構成をさらに改良した手順を組み立てました。
前半部は、ブルーの照明を基調に神秘的なイメージの一般的手順です。
後半部は、明るい照明で、軽快なタッチを心掛けて演じた新しい手順です。
総合的には、お客さんの反応もよく、演出意図は成功したように思います。しかし、後半部の演技は、さらにコンパクトにすべきであり、終わり方にもう一工夫したいところでした。

14.シルクのひとりごと (渡部サト子)

 (1)3つのグラスに赤、黄、緑のシルクをそれぞれ入れる。グラスを重ねる。シルクの色の順番がよくわかるように、積み重ねた3つのグラスの隣に、赤、黄、緑の積み木を積み重ねておいておく。グラスに筒をかぶせてとると、いつの間にかシルクの色の順番が異なっている。(隣の積み木の色と比較すれば一目瞭然。)これを2回見せる。(2)赤、黄のシルクをとりだし、重なっている1番上のグラスの緑のシルクはそのままにしておく。黒いペーパーコーンで赤、黄のシルクを消す。緑のシルクをひっぱると、赤、黄のシルクもつながっている。

感想:

 テーブルを使っての演技のため、インパクトに欠けるところはあったが、ややこしい現象なのに、不思議さがはっきり示されていて、うけていた。クロースアップでも演じられるよいマジックであり、演技も上手であった。後半のマジックへもすんなりとつなげることが出来ており、よく練習されたのではないかと思われる。テーブルを使う代わりに後見をつかってやれば、ステージでもはっきりアピールできる演技になったのではないか。

スティングのコメント:

このマジックのタネは、今回初めて知りました。練習段階では、なかなか現象を表現するのに苦労していた渡部さんですが、本番までにきっちりと仕上げられました。

15.ゴールドフィンガー (植松正之)

 赤いシルクを振り出して、グラスに入れる。(このグラスに出現したコインを入れる。)コインマニピュレーション。ジャンボコインマニュピレーション。1枚のジャンボコインを完全に消してしまう。緑のシルクを取り出して、結びどけを行う。このシルクから先ほど消失したジャンボコインが出現する。ジャンボコインの出現消失現象。最後は4枚のジャンボコインが出現する。

感想:

 ルーティンとして悪くはないが、あのような大きなホールで演ずるのには向かないのではないか。技術的にはすばらしいので、マニアにとっては勉強になる部分も多いが、一般のお客さんはコインだけのルーティンでは途中で飽きてしまう様子であった。

スティングのコメント:

いつもはクロースアップでコインマジックの妙技を見せてくれる植松さん。今回はステージにも挑戦。ご本人曰く、「今回のコンセプトは、内容よりスタイル」。衣装やBGMにも凝ったステージとなりました。

16.Punster (稲葉俊雄)

 (1)赤いシルクの出現。くす玉の出現。(2)シルクの振り出し(6枚)(3)赤い筒に緑のシルクを入れて吹き出すと、赤いシルクに変化する。今度は緑の筒に赤いシルクを入れて吹き出すと、10本ほどの小さな投げ花が飛び出し、床に立つ。(4)先ほどの振り出したシルクの中からパラソルの出現。(パラソルの「骨」の先には全てシルクが結びつけられている。)

感想:

 (2)と(4)の間に(3)のような、ある程度ボリュームのあるマジックが入ってしまうと、(2)と(4)のつながりが不明瞭になり、(4)の現象がはっきりしない。これも、後見がつけば、かなり違った印象になるのではないか。また(2)は、よいマジックだが、それでフィニッシュまでもっていくというのは安易すぎはしないか?しかし、全体としては子供さんからお年寄りにまで、広く喜ばれる流れであるといえ、実際の演技中もよくうけていた。

スティングのコメント:

手持ちの道具をうまく組み合わせての手順構成。日頃の実演経験も活かして、一般受けするステージになっていました。

17.自称天才! (岡田健治)

 長テーブルの後ろに立ち、大道芸のような趣での演技。ボトルとグラスにそれぞれ筒をかぶせて、ボトルとグラスを入れ替えようというもの。最初は「はい!うまく入れ替わりました。(演者だけ筒の中をのぞく)さて、ここまでは簡単ですが、これをもとに戻そうと思います。・・・はいっ!もとに戻りました!(筒をとってボトルとグラスを示す。)」といった、お約束のギャグを言ったりする。何度か繰り返すうちに、誤ってグラスにかぶせていた筒の中からもボトルが見えてしまう。さらに演技を行ううちに、次々に「タネの」ボトルが露呈してしまい、結果テーブルの上には8本のボトルが並ぶこととなる。最後は風船を示し、これを割ると中からボトルが現れる。

感想:

 そつのない演技であり、会場に語りかけがあるため、お客さんは喜んでいた。演者からは、かなり実演経験を積まれているのではないかと思わせる程、手慣れた印象を受けた。古くからあるマジックだが、実演を見たのは久しぶりであった。おしゃべりをしないでボトルをどんどん取り出す、という手法も今後検討されるといいかも知れない。

スティングのコメント:

初めての単独ステージにもかかわらず、ご自分の人生経験を十分発揮された演技でした。迫力のあるセリフと落ち着いたステージマナーは、このマジックを一層楽しいものにしました。

18.フラットボールズ (出田立郎)

 パネルに1個の白いボールの絵が描かれている。指先でその絵を摘むと、絵のボールが指先に移ったかのように、指先には本物のボールがつままれており、絵のボールは消えている。ボールが2個、3個と指先で増加する。パネルもうまく利用して、例えば2個のボールのうち1個がパネルに飛び込んでしまうといった演出がなされる。また、ボールの色も途中から黄色になったようである。最終的にはボールは指先で4個に増加する。その4個をテーブルの上のパネルに落とし込んでいく。パネルをみると、4個のボールの絵が描かれている。

感想:

 意欲的な演技ではあったと思う。せっかくのパネルがテーブルの上に無造作におかれていたのは残念。テーブルなしで、スタンドのようなもので、常にパネルが見えている状態には出来ないものか?単なる4つ玉の演技に比べれば、変化があってよほどおもしろかった。また、ルーティンもすっきりしていて、現象がはっきり訴えられたのではないか。

スティングのコメント:

立体的なボールを平らにしてしまうというアイデアは、奇想天外な発想で奇術愛好家からも評価が高かったものです。道具の自作を含めて、研究熱心な姿勢は会員からも今後の期待感を集めています。

19.ワインの雫 (若山君代)

 赤い紙をちぎると、2つのスポンジボールになる。1つのボールが2段階で大きくなっていく。もう1つのボールは四角(立方体)になる。ポケットからスポンジボールを取り出してみせる。帽子にボールを捨てるが、また手にはボールが現れる。これを何度も繰り返す。帽子にはボールがたくさん入っただろうと思われる頃、演者は帽子を取り上げ、中を見せる。すると、帽子の中は空である。そうこうするうちに、手からはおびただしい数のスポンジボールが現れる。

感想:

 テーブルには特製のスポンジボールを入れる箱が用意されていた、最後にたくさんのボールが出現するところで、この箱の中にボールを入れるのである。スポンジボールをこのような「装置」などを用いることで演出上の工夫を凝らしてステージで見せるというのも、なかなか意欲的であろうと思われる。ただ、やはりなんといっても、取り扱うものが小さいので、見る側はかなり注視しなければならず、一般的な公演で行うのには無理があるかもしれない。テンヨーの技術革新などのお陰で、スポンジボールが手から大量出せるようになったが、これは工夫次第ではステージでも使えるようにも思える。色々な意味で触発されたよい演技であった。

スティングのコメント:

YMGの発表会では、これまでも時々ステージでのスポンジボールの演技が行なわれています。他の発表会では、なかなか見ることの出来ない特徴のある演目です。透明なプレートを使った自作の小道具は、とても良いアイデアだと思います。

20.オーシャンゼリゼ (中川清)

 シャボン玉を吹きながら登場。(1)緑の花を投げるとシルクに。(2)シャボン玉を扇子であおぐとたくさんのシャボン玉に。(3)扇子の色の変化。(4)テーブルの上にシャボン玉をのせる。そのシャボン玉を指でつついて割っていくのだが、そのうちの1つのシャボン玉がオレンジ色のボールになる。(5)ワイングラス形のコーンにシャボン玉をのせ、その上にもう一つシャボン玉を重ねる。シャボン玉を割ると、花が現れる。(6)先ほどのオレンジ色のボールが緑に変色する。(7)ミラーグラスに緑のシルクを入れて、おまじないの代わりにシャボン玉をかける。再びシルクを取り出すと、水玉模様のシルクになっている。(8)おまじないをかけると、テーブルから、無数の小さいシャボン玉が立ち上る。

感想:

 シャボン玉を巧みに演技に取り入れて、ファンタジックなショーをつくっておられた。テーブルの上で何かをするというのは、お客さんからはかなり見にくく、現象がはっきりしないので、工夫が必要だろう。また、バルーンやシャボン玉は素材そのものに面白みがあるので、あえてマジックのショーの中に取り込もうとすると、どうしても「落ち着きの悪さ」が感じられるようにも思われる。とはいえ、十分工夫すればマジックに取り込み大変不思議なあるいはすばらしい現象を起こす可能性も秘めていることと思う。今後さらに、磨きをかけられていくことに期待したい。クロースアップマジックでも、シャボン玉という素材を生かしたマジックが出来そうだとも思った。

スティングのコメント:

ここ数年、中川さんはオリジナルな発想で独自のステージを組み立てられています。今回はシャボン玉をテーマにファンジックな世界を見せてくれました。心からマジックを楽しんでいる雰囲気が会場一杯に広がり、大きな拍手を受けていました。

21.トップテン (榊原茂)

 演者は後ろ向きに客席に向かってボールを投げて、お客さんを1名選ぶ。1名のお客さんはステージに上がってもらい、上手の椅子に座ってもらう。「これらは、私の好きなLPレコードです。」と言って、スタンドに立てかけてある10枚ほどのLPレコードのジャケットを示す。10枚のジャケットは全てデザインが異なっている。「このうち、最も気にいているのはこれです。」と言って、その中の1枚を取り上げる。(このジャケットは椅子にかけてもらっている助手には見せない。)ジャケットを裏向きにして、スタンドに立てておき、残りは片付けてしまう。「さて、もう1組、同じLPレコードのジャケットがあります。このうち1枚を、助手になっていただいたお客さんに選んでいただきましょう。」先ほどと同じようなレコードジャケット10枚ほどを、今度は客席のお客さんにだけ見せる。これらのジャケットは全て同じもので、前半で演者が「最も気に入っている」といって、スタンドに立てたものと同じデザインである。ここで、客席のお客さんは演者の策略を理解して笑う。椅子にかけている助手に向かって、「それでは、私がジャケットを上から下に1枚ずつ送っていきますから、好きなところでストップをかけて下さい。」と頼む。ストップと言われたところのジャケットを取り上げ、残りのジャケットは片付ける。「私が一番気に入っているレコードと、今こちらのお客様に選んでいただいたこのレコードとが一致していれば不思議ですね。」と言いながら、今、助手が選んだレコードジャケットを助手と、客席のお客さんの両方に見せる。同じレコードジャケットばかりだったので、助手が選ぶジャケットは既にわかっていたはずなのに、実際に選ばれたジャケットはそれとは違うものである。(最初に演者が一番好きなレコードだと言ってスタンドに裏向きに立てたものとは違うデザイン。)ここで、会場のお客さんは驚く。さらに、先ほど演者が一番好きだといって、スタンドに立てておいたジャケットを再び表にすると、助手が選んだもの一致している。ここで、助手はもちろん、会場のお客さんも驚く。

感想:

 いわゆる「sucker trick」であり、お客さんとの掛け合いなど、さすがベテランだと、唸ってしまった。レコードジャケットをデザインで区別するのはちょっとわかりにくかったかもしれない。特に遠くからみると、どれも似たようなジャケットに見えてしまった。しかし、数字のカードやESPカードなどを用いるより、暖かみがあり味があると思った。また、いかにも手品の道具、という感じもしないので、品がよいようにも思えた。昨年は体調を崩されて演技ができなかった榊原会長であるが、今回は大変ご健勝そうであり、今後ますますのご活躍に期待するばかりである。

スティングのコメント:

この作品は、かつてデビッド・カッパーフィールドのTVスペシャルの中でも実演されたRecord Album Prediction(Top Ten)[The Magic of David Copperfield III-1980] です。この道具は、日本には3個しかないという貴重なもので、榊原会長がずっと温めていた作品です。カッパーフィールドファンの私は、ワクワクしながら見ていました。

22.春はあけぼの (金松理慧子)

 ハンカチの中央を丸く切り取る。あらためたカメにハンカチを入れて水を入れる。水を絞ってハンカチを広げるとハンカチが大きくなってしまう。同様にすると、今度はハンカチが小さくなってしまう。この小さなハンカチを消す、上手にあった林檎を取り上げ、ナイフで2つに切ると、そこからハンカチが出てくる。切りぬいた丸い部分をハンカチに合わせてみるとぴったり一致している。

感想:

 有名な「おばけハンカチ」の演技。あでやかな和装で、道具立ても和妻風にまとめられていた。幕が開いた直後にアクシデントでテーブルが倒れてしまった。一度幕を閉めるように演者は指示したようであったが、その指示がうまく伝わらず立ち往生をする一幕も。アクシデント発生時の対処方法も事前によく打ち合わせをされるとよかったのではないか。演技自体は大変まとまっており、完成度も高かった。ただ、最後に林檎からハンカチが出るところは、遠くからでもよくわかるようにもう一工夫されたらよかったのではないか?

スティングのコメント:

今回のステージで唯一の和服姿もあいまって、しっかりとした演技が好評でした。進行上のアクシデントはYMGでは珍しいものであり、会員一同肝を冷やした場面でした。

23.豹変化2000 (南國雄)

 (1)ロープの両端を結び、輪にする。輪の一部を切る。ロープは完全につながってしまう。(2)もう一度ロープの両端を結び、輪にする。輪の結び目のちょうど反対側を切る。中央の結び目が消えてしまう。(3)ロープの端に結び目をつくる。これが反対の端に移動する。最後は結び目が完全に消えてしまう。(4)チョウチョ結びに両端の紐をからめて、結び目をつくる。この結び目が取れてしまう。

感想:

 全体としてインパクトに欠けていたように思えた。たとえば、(3)の結び目の移動は手順が長いわりに盛り上がりがないように思えた。フィニッシュももう少し派手にする工夫があっていいのではないか。よく練習されているご様子で、技術的には優れていただけに、やや残念であった。

スティングのコメント:

高木重朗さんの有名なロープ手順をベースにした演技でした。よく練習されていましたが、南さんなりの味付けがもう少し欲しいところでした。

24.銀の夢 (鈴木昭弘、鈴木正子)

 透明な筒にウオンドを使って、緑のシルクを入れる。シルクが2本の毛花に変化。タンバリンの本体(銀の筒)をみせて、そのままの状態でボールを2つ取り出す。筒の両方の口に「タガ」を用いて新聞を張る。余分な新聞をとると、タンバリンのようになる。ここから、シルク7枚くらい、つながったシルク、紙テープ、さらには小さい万国旗に続いて、大きな万国旗を取り出す。

感想:

 タンバリンで、新聞を張る前に何かを取り出して見せるという演出は初めて見た。タンバリンも何度となく演技を見てきたが、初めてのことであったので、大変驚き新鮮な感動を味わった。ネタのスチールは従来通り後見からだと思うが、ネタ場に収まる以上のものが出てきたのにも驚いた。万国旗などは、本来のネタ場以外の場所から出ているのであろうが、これも大変な工夫であろう。タンバリンの新しい使い方、さらにはタンバリンをもとにした新しい道具の開発といったところに思考が広がっていった。大変ためになる演技であった。

スティングのコメント:

タンバリンは奇術愛好家にとっては、ありふれた演目ですが、安心して観ているとビックリするような現象が次々に起こっていた。そんな印象を抱かせる傑作でした。

25.ミレニアム エンゼル (星野好汪)

 (1)5枚のつながったシルクを一気に振り出す。中から紙のモール(レインボーペーパー)が出てくる。途中まで引き出したらあとは投げテープのように投げて取り出す。さらに毛花の出現。(2)毛花を銀の筒に入れ、銀筒を取り除くと、大きな毛花となる。(フラワーチューブ)(3)4枚のスカーフをみせて束ねると、大きなスカーフになる。(ブレンドシルク)(4)スカーフの陰に後見が隠れる。スカーフを取り除くと後見の衣装が変わっている。また、スカーフの中からさらに大きなシルク(旗)が出現する。旗は竿についており、竿をもって旗を振り回す。(振り出し旗)(5)赤、黄、青の3本の筒をあらため、中からシルクを取り出す。さらに、ファンファン(紙製のかざりもの)を2つ、つながったシルク、たくさんの毛花を取り出す。(6)毛花の花だけを取って、布袋に入れていく。袋を広げると袋がマントになる。このマントで花をとった毛花(茎と葉だけ)を一瞬隠すと、花が元にもどっている。(7)このマントで、後見を一瞬隠すと、また後見の衣装は変わっている。

感想:

 華やかで楽しいステージであった。ただ、衣装変えであるが、最近何度か目にした。この衣装がはっきりいって非常にちゃちである。せっかくの後見がかわいそうにさえ思えてしまう。ある程度のステージをするのなら、きちんとしたものを着用することは大切であると思うが。また、最後のマントであるが、やはりおかしい。私たちは、マントなどを身につける習慣がないので、非常に違和感があり大袈裟であり、滑稽ですらある。これだけの道具だてでショーを行なうのであれば、道具に使われないようによほど綿密なルーティン構成や演出が要求される。今一度全体の組み立てを検討すれば一味も二味も違った演技になるのではないか。

スティングのコメント:

大トリの演技というのは、精神的にも大きなプレッシャーがあります。苦労しながらも見事に演じきった星野さん、お疲れさまでした。

フィナーレ

 手拍子にて、上手下手両側から1名ずつ出演者が登場。榊原会長の挨拶で幕となった。

2000年2月17日 田 代  茂

スティングのコメント:

今回のキャストの特徴は、昨年のプロローグに登場した新入会員のうち、4名の方が単独初舞台にチャレンジしたことです。そして、それぞれ個性的で新鮮な演技をされたのが印象的でした。伝統のあるYMGの発表会ですが、絶えず新しい面が産み出されていくのは素晴らしいことです。


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Update: 2000/5/2