サルバノのレクチャー

日時:1997年10月4日(土) 14:00〜17:20
会場:横浜YKビル7階会議室
主催:マジックハウス
会費:4000円

Update: 1998/1/3


はじめに

急遽開催が決まったのにも関わらず、横浜近辺のマジック愛好家が多数集まり、大盛況のレクチャーでした。60名ほどの参加者がいたように思います。

FMAGICからも、JUNさん、IKKIさん、シーザーさん、みやさん、私スティングが参加しました。
他には、三瓶米蔵氏、高橋知之氏らの顔が見えました。
また、今回、師を日本に招聘した深井さんも大阪から同伴されました。
会費は、5000円の予定でしたが、当日は4000円に割引されたようです。
さすが、良心的な二川さんならではのサービスです。

しかし、内容は超一級。これまで、私が受けたレクチャーの中でも、間違いなく
ベスト3に入るほどの素晴しいレクチャーでした。

サルバノ師は、プロ生活50年を超え、なお世界マジック界の第一線で活躍しているトップマジシャンですが、今回のレクチャーでは、その芸の真髄を余すところなく、私たちに公開してくれました。高齢をまったく感じさせず、そのバイタリティは、まさに驚異的です。
当初、1時間半の予定が、3時間ほどの密度の濃いレクチャーとなりましたが、
師の紳士的な態度とともに、そのサービス精神は、本当に頭が下がります。


<ギル・ロー(パリマジック)のディーラーショー>

サルバノ師のレクチャーに先立ち、パリマジックのギル・ロー師のディーラーショーが行われました。詳しい内容は、省略しますが、紹介された商品をリストアップしておきます。

(注)商品名は、必ずしも正式なものではありません。

1. カメラトリック(ギャグ)
2. 消えるカードケース
3. コオロギ・ボックス(カード当て用)
4. ロープと大きくなる炎
5. フラッシュギミック
6. シャボン玉とネックレス
7. シャボン玉とバラ
8. ルビーになるカード
9. クレジットカード
10. 飛び出すカード
11. スプーンカード 


<サルバノ レクチャー>

Part1. カード・マニピュレーション編

日本で、カード・マニピュレーションのレクチャーを行うのは、今回が初めてということでしたが、ミリオンカード大好き人間の私としては、まさに感動の時間でした。
私は、学生時代にクラブでミリオンカードを習い、学生時代に1回、社会人になってから4回、ステージで演じていますが、世界のトッププロの指導を直接受けられるとは、夢にも思いませんでした。正直言って、今回のレクチャーを受けるまでは、アマチュアの自分としては、もうこの程度でいいかな、という思いがありましたが、はっきり意識が変わりました。マジック歴50年の人の芸の凄さを目のあたりに見て、20年後の目標イメージが見えてきたようです。

まずは、3年後ぐらいに、YMGのステージで再演しようと決めました。

さて、今回特に印象に残ったのは、次の点です。

・カードがシルクに変わる現象の美しさ
・パームの自然さ
・スティールの自然さ


また、レクチャーの中で、サルバノ師は、下記の3点を強調しました。

1. タイミング
2. ミスディレクション
3. 少しのテクニック


ここに、師のマジック哲学が凝縮されています。

言葉では知っていても、目の前で実技をまじえて教えてもらうと、それを実践することの難しさとともに、その重要性がヒシヒシと伝わってきます。

私たちが目にする多くのマジシャンは、不自然なパーム、スチール、あらためを平然と行っています。もちろん、私自身も例外ではありません。

今回のレクチャーでは、このようなマジシャンが陥りやすい問題点に対して、師がどのように解決していったかを具体的エピソードを織り混ぜて解説していただきました。

 カード・マニピュレーション編は、誰にも出来るという万人向きの内容ではありませんが、この後のロープとサムチップの手順は、しっかり練習すれば、サロンマジックとして演じられる実用的な内容でした。

Part2. ロープ編

・ロープ切り
  師独自のハンドリングは自然で巧妙なものです。

・結び目の移動
  片手で密かに結び目を作る方法は、一般に解説されていないものです。

Part3. サムチップ編

・ハンカチを使った手順

既存のサムチップの手順を知っている人にも不思議な方法です。サムチップは、どの時点でも観客の視界からは全く見えません。
 その裏側のハンドリングを解説された時は、「一流のプロはここまでマジックを追求しているのか」と胸が震えるほど感動しました。
 ポイントは、巧妙なパスを駆使している点にあると感じましたが、これは、かつてフレッド・カップスが私たちに与えた衝撃に匹敵するほどのレベルの高い思想だと思います。

・ロープ切りへの応用
 ごくありふれたロープの素材も、彼の手にかかると、まさに魔法を見ているような心境になります。ロープマジックの奥深さを再認識しました。

1997.10.5 スティング (MHB01374)


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Update: 1998/1/3