マジックオリンピック[FISM 2003]の挑戦者有志によるステージショー
CHALLENGE
FISM 2003日時:2003年5月30日(金) 開場18:00 開演18:30 終演20:00
会場:鎌倉芸術館小ホール
主催:FISMを楽しむ会
共催:ザ・マジック(東京堂出版)
入場料:950円
Update: 2003/6/3
7月21日〜26日に開催されるFISMオランダ(ハーグ)大会。22回目を迎えるFISM大会は、世界最大のマジックの祭典ですが、既に2000人以上のマジシャンが参加申込みを終えているようです。
注目は、150組が出場するコンテストです。今回は、誰がグランプリの栄冠を勝ち取るのでしょうか。前回に引き続き、日本からも多数のチャレンジャーが名乗りをあげています。5月30日(金)、鎌倉芸術館小ホールにおいて、FISM2003の挑戦者有志によるステージショーが開催されました。企画したのは、前回2000年リスボン(ポルトガル)大会のジェネラルマジック部門で第2位を獲得した中嶋ゆみさん。大会2ヶ月前の日本のステージで繰り広げられた7人の若手マジシャンの競演は、実に見ごたえがあり、とても楽しめました。
昨年、成蹊大学を卒業した学生出身マジシャン。
シルク、ミリフラ、ハトを組み合わせた独創的な手順。
昨年のテンヨー大会、今年のクロスロードに続いて、見るのは、3回目だが、どんどんよくなっている。
ストーリー性・ドラマ性が弱いところがFISMでは苦戦しそうな予感。
初めて見た女性マジシャン。ドルフィン マジック カ ンパニーに所属。
今年3月のシンガポール・マジックフェスティバルで第2位を獲得。
ピストルのプロダクションを基調に、シンブル、ダイヤモンドのゾンビ、カードマニピュレーション。
衣装、スタイル、動きともきまっている。
手順の中では、ダイヤモンドのゾンビは蛇足。
イントロの音楽がセロ師と同じなのが気になる。
また、ビストルの効果音のタイミングはよく合っていたが、かえってピストルがイミテーションであることが目立ってしまった。FISMでの評価はどうでしょうか。
今年のクロスロードに続いて、見るのは2回目。
北大奇術研究会に所属。
2001年夏頃からバーディー・コヤマ師に付き、以来国内外のコンテストに多数参加。
2002年6月 日本海マジックフェスティバル 「全日本マジックコンテスト」で優勝。昨年9月プロデビューした学生マジシャン。
定評のコンテスト手順だったが、クライマックス以外は、精彩に欠けた。黒い布を全体に被せた長方体のテーブルを使用していたのが、気になる。これでは、プロダクションの効果が半減してしまう。また、バラのゾンビではジャリが見えていた。照明にも注意。
FISMでの入賞は微妙。
初めて見た名古屋大学の学生マジシャン。
昨年7月のIBMマジック大会にも出演。
ビリヤードのキューを持って登場、そのキューがウォンドになり、カードマニピュレーション、鳩出し、その鳩から卵がおちて、卵のプロダクション、そして八つ玉へという凝った手順。
スライハンドテクニックは抜群、笑顔も爽やかで好印象。
ファンカードが一瞬にしてシルクに変わるところが見せ場。
ただし、2回やったのは、逆効果。
また、カード、シルク、ハトのあたりの手順はやや冗長。
FISMでの健闘を祈る。
オープニングは、おなじみのスケッチブックからのボーリングの玉の出現。続いて、アタッシュケースの続出。そして、その中から再びボーリングの玉の出現。その玉を使って、箱の中の頭への貫通。箱の中に入り、プレートを差し込むと、首から下が消失。箱の中がからっぽに見える。奇妙な味のイリュージョンだった。
恐るべき17歳の高校生マジシャン。
スピリット百瀬師指導による、6枚シルクと四つ玉を完璧にこなす。失われかけたマジックの原点を素直に演じているところが、マジック関係者が涙を流すゆえんだろう。
とても難しいことをやっているのに、本人は軽やかに、かつ楽しそうに演じているところが凄いところ。FISMでは話題になるのは確実で、特別賞あたりをとりそう。
初めて見た、九州出身のキュートな若手女性マジシャン。
2001年のSAM東京大会で日本奇術協会賞を受賞し、その後、プロを目指して修行中。
クリスマスをテーマにキャンドル、サンタクロースの衣装替え、プロダクションした光り物をツリーに飾り付け、最後のクリスマスケーキを出してハッピーエンド。統一したストーリー性が感じられた。
彼女のようなアイドル風の若い女性がプロを目指しているのは、大歓迎。マジックの裾野を広げるには貴重な存在だろう。
しかし、技術的には粗さも目立つ。FISMでの入賞はどうだろうか。
一昨年の関東大学奇術連盟発表会、昨年のテンヨー大会、今年のクロスロード、Japan Cup 2003に続いて、見るのは5回目。その他、内外のコンベンションで賞を総なめにしている法政大学出身の学生マジシャン。
前半のリングと後半のシルクの流れの悪さに難点があったが、今回のステージでは、見事に解決していた。全体に表現力が増し、自信に満ちた演技は、迫力満点。空中でのシルクの舞の数々は、美しい舞台効果を引き出していた。表情も笑顔たっぶりでよいが、まだ作り笑いをしているような印象がある。自然な笑顔を作れるようになると鬼に金棒である。
FISMでは入賞の最有力候補。進行:カズ・カタヤマ、HIROSAKAI
FISM経験豊富な若手プロマジシャン二人のかけあいアクトは、絶妙のコンビネーション。観客へのサービス精神たっぷりで、ショーを盛り上げた。
個性豊かな演者が揃い、また演技レベルも高く、充実したショーで、あっという間の90分でした。チャレンジするみなさんの健闘を祈ります。
FISM 日本人歴代受賞者 |
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第15回 1982年ローザンヌ(スイス) | 真田豊実(特別賞) |
第16回 1985年マドリッド(スペイン) | マーカ・テンドー(マニピュレーション部門第2位) |
深井洋正(ジェネラルマジック部門第2位) | |
第17回 1988年ハーグ(オランダ) | YUKA(ジェネラルマジック部門第3位) |
ナポレオンズ(グランドイリュージョン部門第3位) | |
斎川豊久(ミクロマジック部門第3位) | |
第19回 1994年横浜(日本) | 内田貴光(マニピュレーション部門第2位) |
安田悠二(グランドイリュージョン部門第3位) | |
和田裕治(カードマジック部門第3位) | |
第20回 1997年ドレスデン(ドイツ) | スガヤ幸一(ジェネラルマジック部門第2位) |
第21回 2000年リスボン(ポルトガル) | 峯村健二(マニピュレーション部門第1位) |
ゆみ(ジェネラルマジック部門第2位) | |
第22回 2003年ハーグ(オランダ) |
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Update: 2003/6/3