FISM'94 (横浜大会)レポート
運営上の問題点(その1)
Update: 1999/1/1
FISM’94横浜大会は、個人的には素晴らしい体験が数多くあり、とても満足していますが、日本で初めてのFISMという次元では、なんとも後味の悪いコンベンションとなってしまいました。
以下、具体的に書いてみましょう。
ここでは、あの「タイク−ン」事件が起こりました。詳細については、多くの人が書いていますので重複を避けますが、私も最大の失敗だったと思います。こんなパ−ティ−なら、やらない方がましでした。このパ−ティ−によって、多くの外国人が怒り、日本の奇術界いや日本人に対して、拭いようのない嫌悪感をいだいたのは消すことの出来ない事実でしょう。多くの日本の心ある奇術愛好家の方たちと同様に、個人としてのどうしようもない無力感を覚えました。
今回のFISM開催にあたって、日本奇術協会や実行委員会の方々には多くのご苦労があったことと思います。また貴重な場を提供していただいたことには、大変感謝しております。しかし、このパ−ティ−の企画・運営は前代未聞の失態でした。私もこれまで、クラブ活動や社内行事等で数多くパ−ティ−の企画・運営側の立場を経験していますが、こんな酷いパ−ティ−は初めてです。
具体的に述べてみると、
まず、企画・運営側の留意点は、今回大きく以下の2点があったはずです。
・会場の大きさは十分か?
・参加者の移動は問題ないか?
・料理、飲み物の量は問題ないか?予算は大丈夫か?
・初対面の人たちをなごませるにはどうしたらよいか?
・外国人に日本の良い文化や伝統を伝えるには?
・外国人に彼らの良い文化や伝統を引き出させるには?
パ−ティ−というのは、人と人との貴重な出会いの場であり、これ自体は人間社会の重要なイベントでしょう。しかし、このパ−ティ−を意味のあるものにするためには、主催者側には、事前の十分な検討と当日の綿密な運営プランが求められます。この点では、今回の主催者側がどれほど上記のような事前検討をしたのか疑問です。全く取組みが甘かったと言われても仕方がないと思われます。
例えば、最も不評だった料理の量が少なかった点について言えば、いくらでも解決策がありました。
・まずテ−ブルに値段の張らないサンドイッチやクッキ−などのお菓子を十分な数用意しておく。
・料理はタイムリ−に出せるように事前に会場側と打ち合わせておく。
・料理の量については、少なくとも参加者の80%ぐらいを用意する。
(実際には30%ぐらいだった。もし、予算をケチったとしたら本末転倒。予算が合わなかったのなら、企画は中止すべき。)
パ−ティ−も終りに近づいた頃、マジックキャスルのオ−ナ−夫人で有名なアイリ−ン・ラ−センさんと話す機会がありました。彼女はとても悲しそうな顔をしてこう言いました。
「Everybody are unhappy.」
「どうして?」と私が尋ねると「私はなにも食べていない.」
もう、私は絶句して後の言葉が続きませんでした。また、途中で皿が割れる音を聞きましたが、他の人のレポ−トを読むまで、外国人が怒って割ったのとは知りませんでした。私は、これまで石田天海賞パ−ティ−などで外国人ゲストが本当にうれしそうに「日本に来てよかった。また、是非来たい。」と話していたことを記憶しています。かつて、アイリ−ンさんも故ビル・ラ−セン氏とともに出席したことがありました。リチャ−ド・ロス、マジック・クリスチャン、アリ・ボンゴなど多くのFISM関係者も同様でした。FISMの日本での開催が認められたのも、きっと彼らの支持があったからでしょう。
TTさんも書いていましたが、今回のことでFISMが日本にやって来ることは、もう当分ない気がします。すこし長くなりましたので、今回はこれまでにします。
次は、きみちゃんの指摘した"I'm not an interpretater"問題について書く予定です。
1994.8.6 スティング(MHB01374)
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Update: 1999/1/1