Update: 1998/1/15
このコンテストは、来年のFISMロ−ザンヌ大会('91.7.8-13)のコンテスト出場者選考会であることが事前に伝えられ、おおいに期待されましたが、内容的には低調に終りました。結局、優勝者は選ばれず、年内に再度選考会が開かれることが主催者の小野坂東さんより報告されました。
FISMのコンテストといえば、いわば世界のトップスタ−への登竜門であり、過去フレッド・カップス、マ−コニック、リチャ−ド・ロス、ランスバ−トンなどのトップマジシャンがチャンピオンの栄誉を勝ちえた世界で最も権威のあるコンテストです。
以下、今回の上位3名のマジシャンにスポットライトを当て、なぜ選ばれなかったのか、その理由を考えてみます。
*ケン正木 さん
氏は、現在人気・実力とも若手No.1とも言われ、今回の出場者の中では、最有力候補であるとみられ、本人も当然優勝を狙っていたと思われます。出し物も和妻スタイルで、前半は得意のシンブルを主体にし、後半は江戸時代の篭を応用した剣さしと人体交換のイリュ−ジョンでした。
小気味よいテンポと基本に忠実なプレゼンテ−ションは北見マキさんに迫るものがありますが、どこかインパクトに欠けるところがあります。
非常に表現が難しいのですが、観客を感動させる「何か」が不足しているように思うのです。
*林太一 さん
氏のパントマイムを取り入れたマジックは、かねてより定評のあるところです。しかし、テレビ朝日の「輝けマジック大賞日本一」や日本奇術連盟の全国大会のステ−ジでは大喝采の氏の演技も世界のFISMの舞台では評価されるでしょうか?
ビト・ルポや最近のアメリカの若手マジシャンにみられるアクトと比較すると、素人眼でみても、ちょっと苦しい気がします。
また今回のステ−ジでは、肝心のマジックでも見るべきものがなく、FISMへの道は遠い気がしました。
*本田しょうじ さん
この方は後で新潟で活躍されている人との紹介がありましたが、アマチュアとしてはトップクラスの実力の持ち主でしょう。
ハト出し、ケ−ン、シルク、リング、ゾンビなど難しい種目を見事に演じました。全体的に非常に見せ方がきれいであり、安心して見ることが出来ます。
唯一の問題点はオリジナリティの欠如です。
特に、リングの手順はリチャ−ド・ロスの3本リングのコピ−に近く、これだけでもFISMでは減点対象になると思われます。
豪華なメンバ−が集まり、大いにマジックファンを楽しませてくれたフレンドシップコンベンションも残念ながら、このコンテストだけはちょっと違和感がありました。
1990.10.10 スティング(MHB01374)
Copyright © 1998 Yasuo Nakamura. All rights reserved.
Update: 1998/1/15