世界マジックシンポジウム
(ナイトショウ)
日時:1992年8月9日(日)
会場: 東京・板橋区立文化会館
共催:板橋区立文化会館、SAMジャパン・メンバーズ
Update: 1998/1/1
開催間際に申し込んだので、席の場所はあまり期待していなかったのですが、ほぼ中央のとても見やすい席だったのは、ラッキ−でした。おまけに、お隣はなんとTTさん。偶然とはいえ、開演前からマジック気分は盛り上がりました。
さて、ショウの方はナポレオンズの司会により開幕です。
以下、出演順に感想を書いてみましょう。
ハトのプロダクションとフロ−ティングボ−ル(アストロスフィア)。最後にハトを入れたカゴを空中で消失させる前に、身体の前で浮遊させたのは、新趣向でしたが、あまり不思議さは感じませんでした。また、浮遊現象の前で急に照明が暗くなるのは不自然です。全体的に、間が悪く、印象の薄い演技でした。
2人の掛け合いによるハト、ボ−ル等のアクト。テンポのよい動きと、息の合った2人のコンビネ−ションは、とても新鮮な印象でした。ただ、出現させたハトの扱いが粗い感じで、ちょっとハトがかわいそうな気がしました。
持ち芸のパラソルプロダクション。スピ−ディ−で迫力のある演技は、いつもながらお見事。手から飛び出るように出現するシルクが印象的でした。この時のシルクの巻き方にはちょっとした工夫があるそうです。
照明効果でバックのホリゾントプレ−ンの色を頻繁に変えていましたが、ちょっとやりすぎで、かえって演技が見にくくなっていました。
上着への剣刺し、人体浮揚(コミック)、ダンボ−ル箱による人体貫通。ダンボ−ル箱のイリュ−ジョンは、最後にタネ明かしのオチが付くのですが、ちょっとストレ−トすぎるのでは?
ミリオン・カ−ド、コインプロダクション、バイオリンの浮遊という18番の手順。一流の演技は、何度見ても新しい発見が必ずあるものです。 イントロで、何気なく両手にカ−ドファンが出現するところが不思議でした。歩いて登場するのですが、両手が完全に空の状態だったような印象を受けました。また、出現させたコインを捨てるとカラカラと落ちていく音が聞こえる道具があるのですが、音の響きがあんなに美しいとは思いませんでした。バイオリンの消失は、タネが想像できても実に不思議! 完璧なタイミングでした。
ミリオンカ−ド、ステッキ、シルクマジック。カ−ドファンプロダクションはファンの形が美しく、鮮やかです。1枚出しの方はもう一つの感じでした。カ−ドの捨てカゴが工夫してあり、床にカ−ドが散らばらないのは感心しました。シルクマジックは流れるようなスム−ズな演技で、練習十分といった感じでお見事でした。
前回のFISMチャンピオンの名に恥じない風格のある演技でした。観客をたっぷり楽しませる工夫を凝らした演出と、自然で美しい身のこなしは一級品です。
今回のショウでは、ニ−ルセンと並んで最も拍手が多かったステ−ジでした。
ボ−ルを使った曲芸。
代表的なミリオンカ−ドの手順。
中盤のところで、少しミスが出ましたが、後半はいつもながらの迫力のあるステ−ジでした。フィニィッシュのジャンボ噴水カ−ドは照明効果と相まって実に絵になる1シ−ンでした。
人体出現、交換等のイリュ−ジョン。
大トリで日本初登場?ということで注目のステ−ジでしたが、多くの観客の期待を裏切りました。長い演技でしたが、見ていて不思議さや感動がないのは、致命的です。
どうして面白くないんだろう?
とその理由を考えてみると...
・出し物のネタが古いにもかかわらず、これといった工夫や新趣向がない。
(みなどこかで見たようなトリックばかりでした。)
・演技時間が長いわりには、構成が良くない。
(演者とアシスタントの入れ替わり現象の多用は、繰り返す程インパクトが薄れてきます。)
といった点が目につきました。
初日に出演したビト・ルポ、ボロ−ニン、ジョニ−・ハ−トのステ−ジを見ることが出来なかったのは残念でしたが、全体的には十分楽しめた最終日のナイトショウでした。
1992.8.16 スティング(MHB01374)
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Update: 1998/1/1