杉並奇術連盟の発表会’89

日時:1989年11月5日(日)14:00開演
会場: セシオン杉並
入場料:無料
主催:杉並区・杉並区文化団体連合会・杉並区教育委員会・杉並奇術連盟

Update: 1998/1/5


はじめに

 11月5日(日)に行なわれた杉並奇術連盟の発表会を見に行って来ました。杉並奇術連盟は、杉並奇術クラブと邪宗門クラブの合同組織であり、毎年11月上旬に杉並区総合文化祭で奇術大会を行なっています。

 例年、会場は杉並公会堂でしたが、今回は新しいホ−ルのセシオン杉並に場所が移されました。

 私にとって、この会には次の3つの楽しみがあります。

(その1)厚川昌男(推理小説家:泡坂妻夫)さんのオリジナルマジックが見られる。

(その2)ジャズバンドの生演奏を聴きながら、マジックが楽しめる。

(その3)フロタ・マサトシさんが主宰する邪宗門クラブの同人誌「THE NEW MAGIC」
           の最新号が手に入る。

 さて、今年はどうだったでしょうか。以下に感想を述べてみたいと思います。

 *厚川昌男さんのオリジナルマジック

 前半は、おなじみのロ−プマジックです。ロ−プの結び目がいつのまにか出来ほどいても、ほどいても結び目が解けず、しまいにはハサミで切ろうとするとそのハサミもロ−プに絡まってしまうという厚川さんの傑作手順です。

 後半は、コインの新作?手順を見せてくれました。以前シガレットの手順を見たことがありましたが、空のはずの手からコインが次から次へ出現します。

 動作に少しも不自然なところがなく、表情が豊かなので、本当に不思議な気分になります。その裏には、高度なテクニックと計算されつくした表現法があるものと推察いたします。

 この厚川さんの演技を見れただけでも、この発表会に来た価値がありました。しいて、言わせていただければ、最後のジャンボコインの出現はやや動作に無理があるように思えました。

*フロタ・マサトシさんのカ−ドマニピュレ−ション

 司会をされていたフロタさんが、バックバンドの方に「「枯れ葉」をリクエストします。」というとシャンソンが流れ出し、「木の葉カ−ド」が始まります。とても、自然で洒落たイントロでした。

 もう手にはカ−ドは持ってないはずなのに、次々にカ−ドが現われます。ふと気が付くと、手にファンカ−ドが出現し、美しいファンカ−ドフラリッシュが続きます。さらにファンカ−ドプロダクションからフィニッシュには有名なシュ−ティングカ−ド(手から1枚づつカ−ドが客席の方へ飛んできます)を見せてくれました。

 技術的には、ファンプロのバックパ−ムの角度が甘かったり、シュ−ティングカ−ドの飛距離が足りなかったりした点は残念でしたが、全体的には雰囲気や見せ方などフロタさんのマジックの世界を十分堪能しました。

*仏坂 靖彦さんのパントマイム・マジック

 フル−トを持って演者が登場して、演奏を始めようとしますが、くしゃみが止まらなかったり、床に落ちていたガムがなかなか取れなかったりする演技の内にボ−ルやコインや手鏡をつかった不思議な現象が起こります。

 最後にフル−トも消えてしまい、「も−やめた」という感じで終ります。自分のオリジナルを作ろうという仏坂さんのチャレンジ精神に拍手を送ります。

*ジャズのバック生演奏

 辻村 昭一 クワルテットの皆さんの素晴らしいバツク演奏でした。マジシャンの演技に合った雰囲気の曲をアドリブで演奏したりクライマックスでドラムロ−リングが入ったりするのは、生演奏ならではの魅力です。

*「THE NEW MAGIC」の最新号

 Vol.27を手に入れました。No.1からNo.5のハ−ドカバ−合本で、これから読むのが楽しみです。来年のVol.28ではπさん(松山光伸氏)によるFMAGICの紹介が掲載されるのを待っています。

                   1989.11.13 スティング(MHB01374)


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Update: 1998/1/5