第29回石田天海賞パ−ティ−

日時:1996年12月1日(日) 10:30〜16:45
会場: 東京 築地「スエヒロ」
会費:2万円(配本+ディナー+レクチャー含む)
主催:石田天海賞委員会

配本:天海IGP. MAGICシリーズ VOL.NO.1(著者:フロタ・マサトシ、150P)
ルーバー・フィドラーのレクチャーノート(翻訳者:福島弘毅、25P)

Update: 2010/8/11


はじめに

FMAGICからは、柳川幸重(Yuki)さん、きみちゃん、JUNさん、S(匿名希望)さん、と私スティングの5名の参加でしたが、全国から総勢86名の奇術愛好家の方々が参加されました。

* 石田天海賞の発表 *

本年度の石田天海賞は、テンヨーの下村知行さんに決定しました。

下村さんは、これまで、
「新版ラリー・ジェニングスのカードマジック入門」、
「ターベルコースインマジック」第8巻、
「鈴木徹作品集 魔法使い主義」等の執筆に加えて、毎年オリジナル新製品を発表されています。また、最近では、恒例の「テンヨーマジックフェスティバル」の企画構成等、さまざまな分野で活躍されています。

奇術愛好家のみなさんの中には、下村さんのマジックの実演を見た方は少ないと思いますが、来年の天海賞パーティーでは、作品集とともにパフォーマーとしての一面も見せていただけると思います。

後で、お話を伺ったら、事前に受賞の件を知らされていなかったため、大変びっくりされていたようです。

しかし、いただいたからには、面白い作品集を仕上げてみたいという意欲を持たれたようですので、大変楽しみです。
下村さん、おめでとうございました! 
 
 第30回(1997年)パーティー

* ディナーにて *

天海賞パーティーの特徴は、フルコースのディナーをとりながら、ゆったりとした雰囲気の中で、会話を楽しんだり、マジックを見たりするという点にあります。

今回、同席したのは、TAMC(東京アマチュアマジシャンズクラブ)の宮田怜さんと武藤雅之さんでした。お二人とも、私にとっては、マジックの大先輩にあたる年配の方ですが天海師の講習を受けられた時の印象を話してくださり、大変うらやましく思いました。

また、休憩時間には、加藤英夫さんをつかまえて、先日受けたレクチャーの中で、よくわからなかったハンドリングを教えていただきました。併せて、「ふしぎなあ〜と」誌にかかれたエッセイのFMAGICへの転載をお願いすることができました。(会議室(5) #01318参照)

フロタ・マサトシさんは、各テーブルを回って、「天海のフライングカード」と「エルムズレイカウント」を実演を交えて解説されました。「天海のフライングカード」は、私の学生時代にクラブの先輩から教わり今でも、私のレパートリーに入れている作品ですが、原案とは全く違うやり方を覚えていたことにショックを受けました。
また、「エルムズレイカウント」の技法は、これまで見たこともない自然なハンドリングでした。
よく、天海師の作品は、バーノンの作品と違って、本を読んだだけでは覚えられないと言われます。このことを改めて実感しました。
今回、天海IGP. MAGICシリーズ VOL.NO.1を入手できたので、もう一度、天海師の作品を見直してみたいと思っています。

別のテーブルで見たマジックで印象的だったのは、テンヨーの藤川好晴さんが実演された、関西の益田克也さんの3つの作品でした。

・時計の予言現象
・サンドイッチカード現象
・エレベータカード現象

これらは、まわりのマジシャンが全員、素人の観客になったような反応を示すほど、不思議なものでした。従来のトリックのコンセプトとは、全く異なるアプローチからの作品とも言え、まだまだ不思議なマジックは作れるんだなと感じました。
機会があれば、是非、益田さんの演技を生で見てみたいと思います。

* ディーラーブースにて *

今回、出店したのは、マジックランドと東京マジック。

マジックランドは、お馴染みのママさんが頑張っていました。
「マインズデック」(マックス名人考案)と「アヒルとうさぎ」を購入。

東京マジックは、増淵さんという若いディーラさんが来ていました。
「マインドパワーデック」(ジョンケネディー考案)を購入。

* ルーバー・フィドラーのショーとレクチャー *

ルーバー・フィドラーは、今回の特別ゲストのオーストリア出身の天才マジシャンです。紹介された、テンヨーの近藤博さんによれば、彼は、日本の代表的クリエータ(厚川昌男さん、沢浩さん、加藤英夫さんなど)、ニューウエーブ(ヒロサカイさん、鈴木徹さんなど)、ポストニューウエーブ?(学生マジシャン)のセンスを全てカバーするクリエータだと言われます。
私も初めて、彼のマジックを生で見ることが出来ましたが、とにかく不思議で、楽しいものでした。
まるで、マジックのタネなど全く知らなかった子供の頃の感覚を呼び起こしてもらった気分です。まだ、彼のマジックをご覧になったことのない方々のために、ここでは内容を紹介するのは控えます。

* 天海賞パーティーの今後 *

今回、主催者のフロタ・マサトシさんは、来年を以て、その企画運営は、誰か他の人達に任せたいという意向を改めて表明されました。理由は、ご自身の体力の限界と世代交代の必要性からだそうです。

これまで、一部には批判もあった天海賞パーティーの企画と運営ですが、その意義を振り返ると、数多くの素晴しい天海賞受賞者の誕生と、優れたオリジナル作品集の発行は、日本奇術界にとって多大な貢献をしてきたと思います。

また、全国各地から、主義主張を超えて奇術愛好家が年1回集まって、パーティーを行うという場は、とても貴重なものだと考えています。
私自身、これまで天海賞パーティーに出席して、多くの奇術愛好家の方々と知り合い、また素晴しいマジックに触れてきました。

しかし、天海賞創設から約30年経った現在、新しい時代に向けての胎動が求められているのかも知れません。

来年の天海賞パーティーがどういうものになるかは、予想もつきませんが、また参加したいと考えています。

1996. 12.8 スティング (MHB01374)


btBack.gif (2191 バイト)


Copyright © 1998-2010 Yasuo Nakamura. All rights reserved.
Update: 2010/8/11