第32回テンヨ−手品フェスティバル

日時:1990年7月22日(日)13:30〜17:00
会場: 三越劇場(日本橋三越本店6階)
主催:株式会社 テンヨー

Update: 1998/1/17


はじめに

マジックフォ−ラムからは、トライアンフさん、だるまさん、栗田さん、NOBOさんの参加があり、会場でお会いすることができました。NOBOさんとは、初対面でしたがこれまでの画面上での豊富な予備知識がインプットされていたので、すぐ気が付きました。

さて、それではショ−の様子を順を追ってご紹介しましょう。

*ごあいさつ  近藤 博 (テンヨ− 開発部長)

近藤さんより、最近のマジック界の隆盛が述べられ、特にホットな話題として泡坂妻夫(厚川昌男)さんの直木賞受賞が紹介されました。厚川さんは、第2回のテンヨ−大会より、毎年かかさずショ−をご覧になっているそうです。

*プロロ−グ  マ−カ・テンド−

  ・カ−ドマニピュレ−ション

彼の最も得意なミリオンカ−ドの演技を見せてくれました。なんといってもジャンボカ−ドのファンプロダクションは圧巻です。ただ、今回のステ−ジは、ファンの形がやや乱れていたのと、BGMがいつもと違い、合っていない印象を受けました。後で彼のミリオンカ−ドの先生は、近藤博さんだったというエピソ−ドを明かしてくれました。

  ・カ−ド当て

客の抜いたカ−ドが混じったデック(一組のカ−ド)を、空中に投げ上げ剣を刺すと、客のカ−ド1枚だけが突き刺さっているというポピュラ−なマジックです。NOBOさんの指摘された客への指示がわかりにくかった原因は、ワイヤレスマイクを使用しなかったためだと思います。

*第1部

   現役の学生マジシャンの出演です。

 川崎 幸臣 (早稲田大学マジッククラブ)  ・・・ シンブル

仮面を使ったマイムで、始まり、シンブルの手順のあと、再びマイムで終るという構成でしたが、以下の点が気になりました。

1)マイムのアクトがジェフ・マックブライドのコピ−だったこと

どんなにうまく演じても、あまりにも他の有名なマジシャンのイメ−ジを観客に感じさせてしまうと、マイナス効果です。

2)マイムのアクトとシンブルの演技に関連性がなかったこと

マイムの演技自体は、とても優れていただけに、シンブルの現象がはっきりしませんでした。

豊かな演技力と、しなやかな手捌きを感じさせる演者なので、手順を工夫すれば、もっと素晴らしいステ−ジを創れる人だと思います。

 小俣 正樹 (慶応義塾大学奇術愛好会) ・・・ リンキング・リング

リチャ−ド・ロスの3本リングの手順にシルクを加えた演技でした。固いリングと柔らかいシルクの組み合わせは、スパイス的に手順に組み込むと、ちょっと面白い味がでると思うのですが、あまりしつこくやるとリングの不思議さが弱まってしまうのでは、と思いました。

 横川 育子 (早稲田大学マジッククラブ) ・・・ ビリヤ−ド・ボ−ル

シェルを落としても、慌てずに堂々と最後まで演じ切ったのは立派です。ただ、もっと笑顔が欲しかったなと思います。(内心はそれどころではなかったのかも?)
それにしても、気になったのはテ−ブルの形状です。学生の発表会ではよく見掛けるものですが、マジックテ−ブルの上に、ついたて風の箱が置いてあり、ボ−ルの捨てかご兼スティ−ル(秘密の動作)用に使用しているのです。これは、明らかにおかしいので、工夫して欲しい点です。

 西山 豊 (立教大学マジック研究会) ・・・ ハト・プロダクション

アシスタントの女性のコスチュ−ムが中国服で、BGMもオリエンタル調だったので、ちょっと変わった感じのハトの演技でした。落ち着いて演じているのですが、どこかスマ−トさに欠ける印象を受けました。(例えば、2羽出しのときシルクを結び、口にくわえ、ヨイショという感じで顔を上げるところなど)

*第2部

   最近注目されているマジシャンの出演です。

 シオミ (塩見昌巳:京都高島屋テンヨ−ディ−ラ−)

マジャック(マジック+ジャズ)というドラム演奏をしながら、不思議な現象を起こしていくという一風変わったアクトでした。電話の受話器の浮遊という珍しい演技でしたが、ゾンビ風の布の使い方にやや不自然さがあるように思いました。この人の演技は、こういう会場ではなく、バ−のような場所でグラスを傾けながら楽しむのが良いのでは、という気がしました。

 西 亮一  ・・・ ダンシングシルク

昨年の大学奇術連盟発表会、今年の勝手に選ぶ学生マジシャンコンテストで演じて好評を博したダンシングシルクを披露しました。今回は、以前のステ−ジと比べて、演技がやや小さく感じたのと、エンディングでBGMが早目に終ってしまったために、出来がいまひとつの印象を受けました。また照明設計(操作?)にもミスがあったようで、バックのホリゾントライトの色がよく出なくて、幕のしわが目立ってしまう場面がありました。

 黒木健一  ・・・ ゾンビ・リンゴ

今年のクロ−スアップマジック大賞グランプリ受賞者ですが、昨年の大学奇術連盟発表会のときに演じたオリジナルのリンゴを使ったゾンビを見せてくれました。紙袋の中から、青いリンゴを取り出し、布を使ってゾンビの演技が続きます。最後は、リンゴを手に持って上に掲げるとリンゴの皮がどんどんむけていき、リンゴの芯だけが手に残るというユニ−クな終り方です。しかし、さすがにゾンビ風の布を使った演技が3つも続くと、見る側も興冷めの感があります。ショ−の構成について、テンヨ−さんらしからぬ不具合さが見られました。

 沢 浩  ・・・ ロ−プ

今まで沢さんのクロ−スアップは数多く見てきましたが、ステ−ジは初めてだったので、開演前から期待していました。ロ−プのマジックでしたが、不思議な現象の連続で、十分楽しませてくれました。詳しい手順はよく覚えていませんが、沢さんのアイデアがいくつも取り込まれた素晴らしい演技でした。ただし、気になったのは以下の点です。

1)ロ−プの色が赤だったこと

気のせいか、なんとなく仕掛のあるロ−プのような印象を受けました。やはり、ロ−プの色は真っ白のほうがよいと、私は思います。

2)照明効果が演技のイメ−ジと合っていなかったこと

舞台上方より、かなり濃いレッドの照明が、演者を照らしていましたが無気味なイメ−ジを与え、軽やかなロ−プの演技とマッチしていないようでした。

 沢 夫人  ・・・ メリケン・ハット

プログラムにも紹介されていなかったため、突然の登場といった感じで一瞬、会場がどよめきました。東京で、沢夫人のマジックが演じられたのは、おそらく今回が初めてだったのではないでしょうか。スチュワ−デス風のコスチュ−ムで登場し、帽子の中からたくさんの国旗を取り出しました。そして、最後には竿つきの巨大な国旗が出現します。ただ、2度続けて同一の方法でプロダクションを行なったのは、蛇足だったように思います。演技そのものは、とても滑らかで、見せ方、動き方もきれいでした。

 沢 浩  ・・・ 紙幣のプロダクション

再びの登場であり、今度は軽妙なおしゃべりを交えての演技でした。観客を楽しませる術を熟知している沢さんのステ−ジに客席は大いに沸きました。

マジックの方は、数枚の白紙が、次から次に紙幣に変わってしまうというもので、とにかくたくさんのお札が出てきました。

*第3部

   若手プロマジシャンの競演です。

 真田 豊実  ・・・ カ−ドマニピュレ−ション

キャンディ−のプロダクションからミリオンカ−ドに続くFISM出演時の手順でした。不運にもミリオンカ−ドに移るときにBGMテ−プの交換ミスがあったため、「ルパン3世のテ−マ」用に構成されたミリオンカ−ドの演技はメロメロに崩れてしまいました。一世を風靡したワンハンドサ−クルファンのキレも悪く、ちょっと気の毒なステ−ジでした。

 伊藤 夢葉  ・・・ ロ−プほか

このあたりは、睡魔と必至に戦っていた頃で、伊藤さんには申し訳ありませんが、ほとんど印象に残っていません。

 ケン 正木 & フレッシュマジック

今回のショ−では、沢さんと並んでこのケン正木さんのステ−ジを注目していました。噂には、よく聞いていましたが生で演技を見るのは、初めてだったからです。しかし、今回のステ−ジは少し期待ハズレでした。キビキビとした動作と、爽やかな語り口は好感の持てるものでしたが、演目の選択には、不満が残ります。
出し物は、箱からの美女の出現、3本剣上の人体浮揚、ジグザグ・ガ−ル、ヒンズ−バスケット、シンブル、人体交換と続きましたが、特にオリジナリティ−が感じられませんでした。また、大ネタの後のシンブルの演技は、あまり効果がない割りには、手順が長い気がしました。

最後に、

テンヨ−手品フェスティバルは、長い歴史を持ち、これまで多くのマジック愛好者に親しまれてきました。

来年は、どんなマジシャンが登場するでしょうか。

まだご覧になっていない方がいましたら、是非次回は会場でお会いしましょう!

1990.7.28  スティング(MHB01374)


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Update: 1998/1/17