第27回東京大学奇術愛好会発表会
- Spirits of Wonder -

日時:1997年10月25日(土) 開場18:00 開演18:30 終演19:45
会場:北区赤羽会館講堂
入場料:500 円

Update: 1998/1/3


はじめに

久しぶりの学生マジックレポートです。

第1部

1幕 -どこまでマコト?-

レストランでの結婚を控えたカップルのシーン。
シルクの消失、アタッシュケースを開けるとマジック用具がいろいろ入っている。(笑い)
アタッシュケースを持って、男が立ち去ると万国旗がズルズルと出てくる。(大爆笑)

Colorful Memories   M.I (2年)
(パラソル)              田上直樹(4年)

 黒のタイツと白いミニスカートがよく似合い、とてもチャーミングな印象。表情に乏しいのが残念。もっと笑顔が欲しい。

HOPE         伊藤圭太(2年)
(シガレット)

 右手が固い。グラスとテーブルの使用は、手順上、あまりしっくりこない。足が床に固定している印象。また、ミリオンさんからの指摘で、シガレットを床に平気で捨てているのは違和感がある。同感。

Final...        蛭川秀一(OB)
(ゾンビボール)

 ボールの色を赤くしていたが、金属の光を鈍くしていた感じ。
ボールに布を被せる時、ボールは静止させた方が良い。全体的にボールの動きと手の動きを独立させるテクニックが不十分。

2幕 - 手品、して-

女は結婚するためには、マジックが出来ないとダメと言われ、マジック道場に入門する。
道場主が空中浮揚の訓練をしている。(ギャグ爆笑)
魔法のジュースを飲むとマジックが出来るようになると勧められ、女が飲むと、リングを打ちつけて繋げられるようになる。

Day tripper      K.H(2年)
(シンブル)

 テクニックは無難だが、ステージの使い方が未練習。シンブルを捨てる時、まっすぐ後ろに下がり、直角に曲がって、カニさん歩きをしている。
また、関東の大学に特徴的な、奇妙な形状の捨て箱を相変わらず使用している。客から見ると黒い衝立の後ろにシンブルを置いているように見える。

Airmail from "D"   金築 啓(3年)
(ミリオンカード)

 客に挑戦的な態度は、あまり好感が持てない。
カード飛ばしの場面の印象が強く、肝心のカードを出現させる部分が雑で美しくない。
また、完全に後ろを向く箇所が2度もあったが、手順上疑問あり。
テープの出現からファンの出現に続ける部分は、目新らしさがあった。

第2部

Like Illusion       かにプロ(1年)
(衣装替え)

 タキシード姿は、ステージの大道具から受ける雰囲気と合わないと思ったが、物陰から出ると瞬間的に赤いドレス姿に早変わり。
シルクの演技をした後、もう一度物陰から出ると、なんとさらにカラフルな衣装にチェンジ。この時点では、なんと巧妙な衣装替えだろうと驚いた。
しかし、もう一度物陰に入ると、なんと二人に分裂?!
これで、タネがバレてしまった。夢が壊された気分。
もし、種明かしをするのなら、最後のフィナーレでして欲しかった。

EASY WINNER    大寺一生(3年)
(ロープ)

 今回のショーでは、唯一コミカルタッチの演技だった。
最後のオチで身体の中からパンツや靴下が出てくるアクトでは、ブラジャーや2つ目のパンツが出てくるのは変。

3幕 - 悪い手品しているわ-

マジック道場での練習のかいあって、女は卒業証書を手に入れた。
他の男の弟子が、それを妬み、女を箱の中に閉じ込めてしまう。
道場主がマントを着て、箱の上に立つと、女と人体交換。
人体交換のスピードは、かなり早い印象。
ただし、箱を縛ったくさりが外れたままになっていたのが残念。

Nightmare      K.U(1年)
(ダンシングケーン)

 非常に、安定感のあるケーンの動き。スローテンポな部分は良いが、もっと早い動きの部分を入れたほうが変化がでて良い。
フィニッシュがBGMの終りとピッタリ合って決まったが、やや手順が長く、冗長な部分があった印象。

Impulse       大原正樹(3年)
(ビリヤードボール)

 今回のショーでピカイチの素晴しい演技。かつての関東学生の伝説コレクションに匹敵するほどの完成度の高さだった。まさに彼は、10年に一度の逸材だと思う。
ステージ上の雰囲気、無駄な力が抜けた美しい身体の動き、卓越したテクニック、いずれをとっても、超大学級の演技。

しいて注文をつけると、以下の点の改良が望まれる。

(1)あまりにもスムーズな動きなので、インパクトが少し弱い。
(2)スティールの後の手の動きが、微妙にまごつく。

昨年のミリオンカード、今年のビリヤードボールとくると、来年は、もう大トリのハトプロダクションを期待せざるを得ない。

Tomorrow Never Knows     井加田朗(2年)
(ハトプロダクション)              K.N(1年)

 オープニングのファイアのアクシデントで、いっぺんにムードが壊れてしまった。しかし、最後までなんとか演技をまとめたのは立派。2羽出しは、不自然。空中打ち消しの時、膝を曲げすぎた姿勢が美しくない。また、最後はバニッシュで終わるのは、マジックでは寂しい感じ。どうしてもバニッシュで終わりたいなら、打ち消し箱を使った方が良い。

4幕 - さっきの喫茶 -

最初のレストランシーンが再び現われ、女が夢から覚めるというオチ。
伝統的に東大は、司会形式ではなく、ストーリーを絡めた舞台進行が得意。しかし、今回の寸劇は、もう一つ不完全燃焼の感じ。実際のマジックの演技との連携があると、もっと良かった。



以上、率直な感想を述べましたが、全体的には、よくまとまった発表会でした。学生のみなさんのさらなる飛躍を楽しみにしています。

1997.10.26   スティング (MHB01374)


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Update: 1998/1/3