Update: 2001/6/13
以下の内容は、1998年11月頃に、World Alliance of Magicians (WAM) から世界中のマジック団体へ宛てたメッセージです。
すべてのマジシャンが知っている通り、ヴァレンチノつまりマスクドマジシャンを自認するこの男は、(1998年)10月29日のFOXとNashのテレビ特番の最後にスピーチを行った。優秀な奇術の秘密や原理をたくさん暴露したことについて説明し、視聴者を欺こうという趣旨である。
World Alliance of Magicians (WAM)
の関係者及び役員すべては、ヴァレンチノ/FOX/Nash Entertainment社の嘆かわしい行動に「正当性」を与えるべきではないという意見で一致した。
我々は下記の公開質問状をできるだけ速く、広く、広めることを希望する。奇術関係雑誌、オンライン奇術団体、世界中のリング/アセンブリー/クラブのニュースレターに載せて欲しい。また、これはWAMのウェブサイト ( www.magiciansalliance.com )から閲覧、ダウンロードが可能です。(注):現在、このコンテンツは削除されています。
スピーチの中にお詫びの言葉はありませんでした。後悔の念もありませんでした。ヴァレンチノは、FOX特番第4回の最後の4分間をフルに使って、なぜ同朋のマジシャンたちを傷つける道を選んだのか話し続けました。私は、こんなに短い時間に一人の人間の口からあれほどの不誠実な言葉が出てくるのを今まで見たことがありませんでした。
私は、マジックを愛するが故に今夜ここに出演しています。私は、マジックという芸能が忘れ去られるのを怖れていたのです。 |
忘れ去られる?
デビッド・カッパーフィールドの15年にわたるスペシャル番組と大人気のワールドツアーがあるではありませんか。プライムタイムにシーグフリード&ロイ、ランス・バートン、ハリー・アンダーソンその他もろもろのスペシャルが続々と登場しています。テレビスペシャルのWorld's Greatest Magicも5回を数えました。今年は他にもマジックの特番がたくさんありました。あちこちのカジノ・ショウで長年にわたってマジシャンを使っています。マジックは第2の黄金時代を迎えていますし、最初の黄金期である1930年代のはるか上を行っています。
昨年放送した私たちの最初の特番を覚えていらっしゃいますか?長い年月を経て、またマジックはセンターステージに戻ってきたのです。 |
ヴァレンチノ、君のセリフは一体誰が書いてるのかね?クリントン大統領か?
何ヶ月も前のテレビインタビューで、マジシャンたちが君に敵対する理由として、若い人たちがマジックを習うことによって自分達がスポットライトから遠ざかるのを嫌がっているからだと言いましたね。その言葉は衝撃的でした。特に、ロングビーチ・ミスティック、マジックキャッスルジュニア、IBMとSAMの少年少女マジシャンたち、そして大人のアマ・プロマジシャンで若い愛好家たちに一生懸命助言と知識を授けようとし、マジッククラブの会合やマジックキャンプ、ジュニアコンテスト、また大会で賞を与えたり演技をさせる人達にも。ヴァレンチノ、君はどうしてこれらを見過ごしてまで自分への信用を勝ち取ろうとするのかね?
私が13歳の時、子供たちに少しのタネを教えたらもっとマジックを好きになってくれました。 |
それで、FOXを見ている子供たちに見せたかった秘密とは一体何なのかね?
ストローに通した糸を切って元通りにするやつかね?バカも休み休み言いたまえ。忘るるなかれ!
以下に挙げるのは君とFOXとNash Entertainment社がプライムタイムのテレビ番組で4時間かけて一般視聴者にたっぷりとバラした秘密の一部だ:
・トラに変わる美女 (Lady to Tiger)
・シャドウ・ボックス (Shadow Box) ・美女の浮揚と輪を通すテクニック(Aga Levitation and Decetive Hoop Pass) ・拘束衣からの脱出(Straitjacket Escape) ・ジグザグ・レディー(Zig Zag Lady:ロバート・ハービンが人生を捧げたマジックの遺産) ・人体交換トランク (Substitution Trunk) ・P.T. Selbitの美女の胴切り(Sawing a lady in Half) ・ヒンズー・バスケット(Hindu Basket) ・象の消失(Vanishing Elephant: 鏡を使う原理) ・ぺちゃんこになる美女(Crushing a Lady) ・瞬間移動(Teleportation) ・壁の通りぬけ(Walking Through a Wall) ・美女を貫通する矢(Shooting Through a Woman) ・剣刺しボックス (Sword Box: 鏡を使った原理) ・フーディニのシナの水牢 (Houdini's Water Torture Cell Escape) ・テーブル・オブ・デス (Table of Death: アンドレ・コールの企業秘密) ・伸びる美女(Stretching a Lady) ・人形の家 (Doll House:屋根の原理とファントム・チューブの原理) ・弾丸受け止め術(Catching a Bullet) ・ミスメイドガール (Mis-Made Girl:チャック・ジョーンズから与えられたマジックの遺産) ・戦車の消失(Vanishing Tank) ・スパイク・キャビネット(Spike Cabinet) ・ギロチン (Guillotine: 階段を使う原理、衣装を使う原理) ・墓と棺桶からの脱出(Grave/Coffin Escape: スティーブ・バナチェックの方法) ・リンキング・リング(こんな名作まで・・・) |
ヴァレンチノよ、見るがいい。これらのマジックは君がマジックを分かち合いたかった子供たちの興味をそそるものばかりなのに、今となっては、これらを生活の糧としていたマジシャンたちは演目から外さなければならなくなってしまった。
しかしもちろん、ヴァレンチノがFOXとNash Enterntainment社に加担した本当の動機というものがある。それは一年前に放送した最初のFOX特番の共同プロデューサー、リック・ロンバルドがNBCの番組「ハード・コピー」でヴァレンチノについて話したときに述べている。この番組はFOXの第4回が放送されるわずか数時間前に放送されたのだ。
ロンバルドはこう言った。「実際にこの企画に手をつけるマジシャンを見つけるのがとても難しかった。この企画には誰かの生活手段を暴露してしまうという危険が大いにあったのだ。」彼は候補者を探しに探したが、誰もやろうとしなかった。当初はヴァレンチノさえも首を縦に振らなかった。しかし彼はヴァレンチノにギャラが高額だと告げた。ヴァレンチノは一週間後に電話をよこし、こう言った。
「How much?」
・・・これが真相だ。こうしてヴァレンチノが採用されたのだ。ロンバルドによると、ヴァレンチノは自分のマジックショウで一生分稼げるよりはるかに高額のギャラをもらったそうだ。
「ハード・コピー」の司会者はヴァレンチノについて、このようにずばり言いきっている。
「裏切り者として業界の最も神聖な秘密をもらした背教者だ。名誉を受けなかっただけでなく、悪評と恥をさらしてしまった。単に、同胞を裏切ったおしゃべりな乞食にすぎない」
World Alliance of Magicians (WAM)
のすべての関係者と役員はこれ以上うまい表現が見つからなかった。
文責: Walter Zaney Blaney
翻訳協力:小谷 純司氏
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Update: 2001/6/21