「マジック種明かし番組」問題

ヴァレンチノ対マジシャンたちの「モラル法廷」での判決

MORAL COURT DECISION ANNOUNCED
VALENTINO VERSUS MAGICIANS

Update: 2001/6/12


はじめに

以下の内容は、World Alliance of Magicians(WAM)のホームページで、2001年6月11日に公開された内容です。

「モラル法廷」での判決について

ヴァレンチノ (Valentino) とジョエル・バウアー(Joel Bauer)(世界のマジシャン代表)がテレビ番組「モラル法廷」(Moral Court)で対決しました。この番組は、2000年11月に収録され、2001年5月に放映されました。

このマジックに関する部分の放映時間は11分45秒間でした。この裁判の最後に、裁判官のラリー・エルダー氏は1分40秒の独白をしています。

下記がその内容です。エルダー裁判官は、World Allianceof Magicians(WAM)の活動に関わってきた人々の意見を非常にうまく集約しています。それでは、下記判決をお楽しみ下さい。

ラリー・エルダー裁判官のコメント

「ヴァレンチノ、あなたはマジックの秘密を暴露してきたマジシャンですね。あなたは同業者であるジョエルをこのモラル法廷に連れてきました。理由はジョエルや他のマジシャンたちがあなたのショウを排斥し、あなたの生活をおびやかしたということですね。実は、問題はここにあります。」

「ジョエルがいい指摘をしましたが、あなたが公開してきた" ネタ "というのは、一生懸命努力すれば手に入れることができるものです。この、"一生懸命努力する"というのが大切なキーポイントです。"一生懸命努力する"ということとはどういうことか。マジシャンたちは、それこそ何百時間もかけて芸を完成させようとします。そして努力する理由は、マジシャンたちがマジックの持つ不思議さを保ちたいからなのです。」

「そこへ、あなた(ヴァレンチノ)がひょっこりと現れました。FOXがタネ明かしをやってくれと頼んできました。あなたも認めているとおり、FOXは他のマジシャンたちにも頼みましたね。しかし他のマジシャンたちは"イヤだ!・・・どうして俺が、マジシャンたちが何百時間もかけて完成させようとした秘密をバラさなきゃいけないんだ?そんなことしたいと思うはずがないだろう?"と言ったのです。」

「しかしヴァレンチノ、あなたはネタばらしをやることにしました。そして、あなたが仮面を被って出演したことがすべてを物語っているのではないですか?同じ職業にある者が奇術を演じるだけでなく秘密まで暴露したことを知ったら他のマジシャンたちが怒るということを、あなたは気づいていたということではありませんか。」

「あなたは、生活のために芸を磨いてきた世界中の人達の口から食べ物を奪ったのです。」

  (聴衆から拍手が起こる)

「正直なところ、あなたは確かに目先の金を稼いだかもしれない。しかし長い目で見れば、あなたは同業者全体のパイを減らしてしまいました。そしてそれは・・・・まったくもって非道いことです!」

「被告人であるジョエルに対し2千ドルの支払いを命じる。判決は以上です。」

  (聴衆から果てしなく挙がる歓喜の声)

ウォルター・ブラニー師のコメント

以上が事の顛末です。World Alliance of Magicians(WAM)は、番組を見た人たちがマジシャンたちが秘密を一般に公開しない理由について、より深く理解し、今後も奇術を楽しんでくれるのではないかと信じています。

我々はジョエル・バウアー氏の番組に対する準備と、プロフェッショナルな態度でマジシャン側に勝利をもたらしたことに感謝の意を表したいと思います。また、ラリー・エルダー裁判官にも、思慮深い言葉と判決に感謝いたします。彼はとても聡明な方でした。そして「モラル法廷」のプロデューサーたちにも感謝いたします。彼らは各地からマジシャンを招き、我々の主張を全国の一般視聴者に広めてくれました。

2001年5月30日 WAM 名誉会長 ウォルター・ブラニー


出典:http://www.magiciansalliance.com/judgement.html

翻訳協力:小谷 純司氏


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Update: 2001/6/12