「マジック種明かし番組」問題

マジック種明かしの真実

Update: 2001/5/29


はじめに

以下の内容は、World Alliance of Magicians(WAM)の名誉会長のウォルター・ブラニー(Walter "Zaney" Blaney)氏がWAMのホームページで紹介した手紙の内容です。マジックの種明かし番組が何故いけないのかが明快に書かれています。このウォルター・ブラニー氏は、1976年8月のPCAM東京大会(帝国ホテル)にゲスト出演のため来日していますので、ご記憶の方も多いと思います。なお、翻訳は、アマチュア奇術愛好家の小谷純司氏のご協力をいただきました。

あるプロマジシャンから来た、種明かしに関する手紙

FOX TVは,"Breaking the Magician's Code: Magic's Biggest Secrets Revealed"というタイトルの番組シリーズをプライムタイムに放送してきた。この一連の番組は単にマジックの秘密を暴露したというだけでなく、FOXに良心というものがないという事実もさらけだした。

この暴力的とも言える内容、そしてそれを大量にテレビで放送したということは、FOXが夢中になってエンターテイメント産業の一分野を破壊しようとしていることを示しているように思える。この「一分野」とは、不思議によって人々を楽しませたり、面白がらせたり、喜ばせたりする、ある意味「魔法」といえるものなのに・・・。FOXは我々の秘密を暴露することによって、何世紀にもわたって存続してきた芸術をぶちこわしにしようと考えている。彼らがやっているのは略奪である。我々や視聴者から驚きを、歓喜を、良質の笑いを、そして、健全な家族向けエンターテイメントを奪いとろうとしているのだ。

マジシャンというのは、プロや、あらゆる職業の人々からなる献身的な演技者の集まりである。

病院や施設で病に苦しむ者や障害を抱える人々を楽しませ、戦時も平時も慰問協会のスタッフとしてショウを行い、あらゆるプロフェッショナルな娯楽産業の場に従事し、 世界中で花盛る黄金期を迎えようとしている。

そして、マジックという芸の世界で真に熟達するには長年にわたる研究と経験を必要とする。 マジシャンは俳優、音楽家、あるいは舞踏家のように時間、労力、金銭、そしてエネルギーを惜しみなく注ぎこんでいる。

しかし、マジシャンにはアキレスのかかとのような弱点がある・・・
それは、タネという秘密である。

それがなければマジックではなくなってしまうのだ。

そういうことは誰もが知っている。しかし、マジシャンの中には、目先の金銭を得るために喜んでマジックの不思議さをだいなしにしようとする輩がいるのである。

皆、マジックの裏側がどうなっているか一般の人達も知りたいだろうと思っている。しかし、一般の人はまったく、そのようなことを思っていない。

タネを知ってしまうと、一般の人達はがっかりしてしまい、良いマジックを観て得られる畏敬の念や楽しさを二度と味わうことができなくなってしまう。もしあなたがマジックに興味を持っているなら、きちんしたマジックの団体に連絡して、なぜ秘密を守ることがそれほど大切なのか尋ねてみると良いだろう。

ウォルター・ブラニー (Walter "Zaney" Blaney)


出典:http://www.magiciansalliance.com/letter.html

翻訳協力:小谷 純司氏


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Update: 2001/5/29