ネタばらし企画番組のオファーを受けましたが...(2001/11/8)
始めて書き込みさせていただきます、協会員のLUKEアキラと申します。
私事で恐縮ですが、実は今日、某民放局TV番組より出演のオファーを頂きました。
担当者様のお話によりますと番組中メインになるこの企画内容は『ネタばらし対決』という物で、私の演じているマジックの中から高等テクニックを要する部分を、二組に分けた番組出演タレントさんに課題としてある期間内練習して頂き、その出来、不出来をスタジオで対決という形で競わせるといった内容との事でした。尚、スタジオでの最終対決の段階でこの課題となるマジックのタネは明かされる形になるとの事でした。
結果から申し上げますと、この内容のままでの御依頼に対しては丁重にお断りさせて頂きました。この経緯について、これを御覧頂いている皆様にも御報告した方が良いのでは?と判断し、これに至る次第です。
当方はこの申し出に対し、概ね次の様に申し上げました。
まず、プロマジシャンやマジックマニア、愛好家の方がトップシークレットとしている、またはそうである可能性を含むマジックのタネ明かしはできない。
一般書店にて趣味のコーナーに比較的安価にて販売されている手品の本に載っている程度の、誰でも簡単に覚えてそれを人に見せて楽しんでいただける物を御指導する形は可能。
マジックの技法やテクニックとして『〜〜ムーブ』『〜〜パス』『〜〜パーム』等々、マジシャンのみが使う専門用語または隠語のついているような、マジシャンのみの特殊技術に関しては、それをテレビ番組において公開する事は、それにより迷惑を被り、収入や生活に悪影響を及ぼされるマジシャンがいる可能性がある為、協力はできかねる。
マジックの専門用具として販売、叉はマジシャンの間にのみ認知され、それを使用して演技しているマジシャンがプロ、アマ問わずにいる可能性を有する用具の構造、仕掛け、は明かせない。
従って、今回の御依頼に関しましては、お力になる事はこの企画のままでは不可能となりますと、お伝え致しました。
加えて当方からの代替え案として、フラリッシュ系『コインロール』や『カードのカスケード』等のタネの秘密を含まない高等テクニックを題材に企画の一部を変更して頂けるのであれば、いくらでも協力は可能である考えをお伝えしました所、再度そのような案を提案し考慮してみるとの事でした。番組製作側の御理解に感謝致します。
また、同担当者様には、「たとえ私以外のマジシャンに同企画を依頼しなおす場合でも上記の事項を充分に考慮され、これに留意した上において内容をセレクトし、依頼をして頂けると幸いです、また現在同種の『ネタばらし』企画に対して奇術協会を始めプロや愛好家の間で大変な問題となっている事を御考慮下さい」との事をお願い致しました。
以上、一協会員であり、職業奇術師として御報告申し上げます。また、私の代わりにこの依頼を受けるマジシャンの方がいらっしゃいましたら、上記の様な経緯がありました故、私の様な若輩者が言うのは失礼とは存じますが、モラルに基づき、専門家としての誇りと責任を以て御出演頂けます様、切にお願い申し上げる次第です。
ps 私個人としては、内容以前に『ネタばらし』という単語には甚だ嫌悪感を感じ
てしまいます。マジシャンがマジックの専門的秘密を管理する責任は、ショーを見
る観客や依頼するクライアントに対しての礼儀であり、専門家としての義務だと認
識しております。
本当に素晴らしい演技を提供できれば、高等技術の裏側を見せずともそれにより
マジックのファンが生まれ、マジシャンになりたいと思う若い人も増えると信じ
ております。その人がマジシャンを目指した段階で自ずと裏側を知り、所有し、
守る側になる、というのが個人的見解です。
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