ドキュメント
タネも仕掛けも
ー古今東西マジック見聞録Uー村上 健治著
1600円
燃焼社
発行:2004年6月Update: 2004/7/24
はじめに
以前、当サイトでご紹介した村上健治さんの新聞連載記事「タネも仕掛けも」が単行本になりました。前作「マジック・不思議は楽し―古今東西マジック見聞録―」(2001年燃焼社)に続いて、副題は「古今東西マジック見聞録U」となっています。
日刊紙にマジック記事が1年以上も長期連載されたのは初めてのことでしょう。採り上げられたマジシャンは、まさに古今東西の魅力的なマジシャンたちです。貴重な写真とともに興味深いエピソードが、マジックを愛する著者の暖かい口調で語られています。
マジックに興味を持つすべての方にお勧めしたい一冊です。
目次
世界のマジシャン
1 マジックで亡命した男《パトリック&ミア》
2 フランスの1840年をよみがえらせた男《ジョン・ゴーン》
3 魔法使いからマジシャンへ《ロベール・ウーダン》
4 死ぬまで中国人を演じきった謎のマジシャン《チャン・リン・スー=程連蘇》
5 アメリカで初めて切手になったマジシャン《ハリー・フーディーニ》
6 鳩出しの先駆者《チャニング・ポロック》
7 「鳩だし」で世界に飛躍《島田晴夫》
・海外に挑戦した日本人マジシャン
・インタビュー《島田晴夫・2004》
8 「鳩だし」の貴公子《ランス・バートン》
9 ロマンをイリュージョンで体現《デビッド・カッパーフィールド》
10 つかめアメリカンドリーム・16歳《ジェシカ・リード》
11 92歳・現役最高齢マジシャン《ジョン・カルバート》
12 中国の伝統芸能を取り入れて《ジュリアナ・チェン》
13 江戸の手妻に、日本の心を見る《藤山新太郎》
14 日本のマジシャンを世界へ《小野坂東》
・世界3大マジシャンクラブ《SAM IBM FISM》
・FISM日本人歴代受賞者
15 時代劇でトリック担当《真田豊実》
16 観客を楽しませてこそプロ《深井洋正》
17 マジック五輪日本人唯一の審査員《瀬島順一郎》
18 芸術としてのマジック追究《ゆみ》
19 FISM2000・2003連続受賞《峯村健二》
20 世界に羽ばたく兄弟マジシャン《山上佳之介・暁之進》
21 韓国からニュースター現れる《イ・ウンギョル》
22 ロンドンのスペシャルショー《ポール・ダニエルズ&デビー》
マジシャンの夢舞台
1 FISM2003ハーグ(オランダ)を観て
2 「なにわの国際マジックコンベンション」ファイナル
3 マジックバーをたずねて
・あのプロマジシャンもやってくる《マジックカフェ フレンチドロップ》
・マジックショーの楽しさ満載《バーノンズバー》
・神戸三宮に本格的なマジックバー《マジックラウンジ ボンバー》
■東京のマジックバー・喫茶店■ オンライン書店bk1 (こちらで購入できます)
感想神戸新聞夕刊に1年以上に渡って隔週連載されていた「タネも仕掛けも」を読むのがとても楽しみだった。登場するマジシャンはマジックファンなら誰でも知っているような伝説のマジシャンに加えて、現在活躍中の魅力的なマジシャンの実像が生き生きと描かれている。単行本で加筆された取材ファイルはとても興味深く、著者のマジックに対する深い愛情がひしひしと伝わってくる。 特に印象に残ったのは島田晴夫師のインタビューと92歳・現役最高齢マジシャンのジョン・カルバート師に関する記述である。 島田晴夫師のインタビューでは、チャニング・ポロックとの出会い、ポロックの「鳩だし」との違い、「和傘プロダクション」、「ドラゴンイリュージョン」創作のいきさつ等、貴重な話を聞かせていただいた。 ジョン・カルバート師については、著者が企画したTV番組「地球に好奇心・マジックに賭ける若者たち」(2001年NHK BS)で初めて知ったが、昭和33年(1958)に大阪と東京で日本公演が開催されていたようだ。当時の新聞記事や文献を通して、その時の模様が詳しく紹介されているのは実に興味深かった。 この本を読むと、マジックの世界は奥が深く、また年代を超えて私たちを魅了するエンターテイメントであることを改めて感じる。これからもマジックを演じる楽しみと観る楽しみをどちらも味わっていきたいと願っている。 2004年7月24日 中村 安夫 |
新聞連載記事「タネも仕掛けも」(神戸新聞夕刊 2002年7月8日〜2003年9月22日)
マジック・不思議は楽し―古今東西マジック見聞録―(2001年11月 燃焼社)
カッパーフィールド公演記事(神戸新聞夕刊 2001年8月3日)
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Update: 2004/7/24