これを忘れると、後で大変なことになります。
例えば、以下のようなハプニングが起こったりします。
・前の方の子供たちが立ち上がってしまう。
・使った道具を勝手に触られたり、持っていかれてしまう。
・ヤジを飛ばして、マジシャンを困らせる。
先日の私のマジックショ−では、演じる前に次のようなことを話しました。
「みなさん、こんにちは。今日はみなさんのために、たくさんマジックを用意してきましたよ。楽しんで下さいね。
でも、ちょっとだけ約束して欲しいことがあります。まず、一つ目は、前の方の人は絶対立ち上がったりしないでくださいね。どうしてかというと、後ろの人が見えなくなってしまうからです。
解りますよね。
二つ目は、私が出した物を勝手に触ったり、持っていったりしないで下さい。
そうすると、マジックが続けられなくなってしまいます。
三つ目は、とても簡単なことです。
みなさんが、不思議だな〜とか面白いな〜とか感じたら思いっきり拍手して下さい。
さあ、それでは早速マジックを始めましょう!」
このとき注意する点は、決してお説教をしているようなニュアンスを出さないことです。ただでさえ、子供たちは普段お説教をされているのですから。
このようにして、早く子供たちをマジシャンの味方にしてしまうのが成功の秘訣です。
これは、子供の集中力はこのぐらいの時間が限度だからです。
先日のショ−では、実は私の手順は2部構成になっていました。
(1)魔法使いの絵本
(2)シンパセテックシルク(6枚シルク)
(3)メキシカンロ−プ(輪になるロ−プ)
(4)シルクセレナ−デ(色変りのレコ−ド)
(5)クリスタルチュ−ブ
(6)悪魔との取引
(7)ミスタ−ラビット
(8)リンキング・リング(5本リング)
(9)カメレオン・シルク(変色ハンカチ−フ)
パ−ト1とパ−ト2の間には、5分ほどの牧師さんのお話が入っていました。
具体例としては、前に述べた私の手順を参考にして下さい。
一般的には、カラフルなシルクや花、動物にちなんだもの、カ−ド、ロ−プ、新聞紙など日常的なものを使ったマジックが喜ばれます。
BGMを流して、一方的に演じるよりは、子供たちと対話しながらマジックを進めた方が、より効果的でしょう。
また、子供にお手伝いを頼むときは、男女バランスよく選んだほうがよいと思います。私の場合は、女の子だったら素直そうな子供、男の子だったらいたずらそうな子供を選ぶことにしています。
このような男の子でも、みんなの前に出ると、案外素直に協力してくれるものです。そして、後のマジックがやりやすくなるという効果もあります。
これには、以下の理由があります。
・だれかに渡そうとすると、近くの子供たちが殺到して、大パニックになることがある。
・一人だけにあげてしまうと、ほかの子供たちに不満が残る。
子供は好奇心旺盛なため、出したままにしておくと、触ったり、壊したりしてしまうことがあります。
私の場合は、紙袋を用意して、一つの演技が終ったらすぐ中に入れて見えなくしてしまいます。
演技の前とか、終ってからとかに、子供にマジックをせがまれることがよくあります。今回の場合、まだ紹介される前から、子供が寄ってきて、
「おじさん、てじなしでしょ。なにか見せて〜...」
といった調子でした。
こんなとき、テンヨ−のポケットマジックシリ−ズなどをいくつか持っていると助かります。
以上、これまでの経験を思い出しながら、ノウハウをまとめてみました。
先日のショ−の翌日、早速、教会の牧師さんから、子供たちが大喜びだったとのお礼のお手紙をいただきました。
子供にマジックを見せることは、とても気をつかって大変なのですが、うまくいった時の喜びは計り知れません。
今回の場合は、自分でも楽しみながらやれたので、とてもよかったと思います。
今後、みなさんが演じる場合の参考に、少しでもお役に立てていただければ幸いです。
1992.10.10 スティング(MHB01374)
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Update: 1998/1/2