10点満点で、演技終了直後、審査員からメモに書かれた点数を係が集めて主計するという方式。審査員は、沢木氏(静岡の会長)、三瓶氏、村上正洋氏(日本奇術協会相談役)、松浦天海氏、工藤氏(ミスターK)、岩田氏(松戸の会長)。
東海マジシャンズクラブの会長。タイトルは「乾杯」。
@バラを持って登場。バラがシルクに変化する。シルクになったはずのバラの花は再び茎に戻っている。シルクからシャンパングラスの出現。グラスからは紙吹雪が散る。さらにシルクより液体の入ったシャンパングラスが2つ出現し、後見と1つずつグラスをもち乾杯をする。
A膝の辺りから黄色いシルクが突然現れる。さらにもう1枚シルクが現れ、2枚のシルクの中から赤い液体の入ったシャンパングラスが現れる。胸ポケットより赤いシルクを取りだしシルクの結びどけを見せる。その後黄色い液体の入ったシャンパングラスが現れる。黄色いシルク、赤いシルクを合わせると、シルクの中からシャンパンボトルとグラスが2つ現れる。2つのグラスにボトルからシャンパンを注ぐ。この2つのグラスに注がれたシャンパンは色がそれぞれ別の色である。この2つのグラスをテーブルに置き、スカーフをかける。スカーフをとるとグラスの中の液体は消えている。
Bファンカード。2回ファンをつくってみせる。突然ジャンボファンが現れ、その陰から赤い液体の入ったシャンパングラスが現れる。ファンは何度か閉じたり開いたりするうちにだんだん小さくなっていく。最後には消えてしまう。トランプ模様のスカーフからジャンボファンが現れる。さらにこのファンをスカーフで覆うとファンはカードキャッスルに変化する。キャッスルの陰から大きなブランデーグラスが現れる。グラスの中には大きなグラスが描かれた幕が入っている。これを後見と広げる。
液体入りのグラスのプロダクションという難しいマジックをうまくこなされておられた。後見と乾杯をするところは、見ていて全くおもしろくない。またテーブルを使うマジックは不思議ではあるけれど、全体のリズムを乱している。後半から第2テーマのカードが出てくるが、そのためグラスプロダクションの印象が薄れてしまった。鳩でもなんでもそうだが、単調なプロダクションの場合、その間にどのようなマジックを盛り込むかという点に演者のセンスが問われる。この場合、カードがはじまったらずっとカードにいってしまう、いわば「話がそれて」しまう。それたなりで、カードキャッスルまで出してしまい、それでは具合が悪いので、キャッスルの後ろからグラスを出してみせるということになったのだろう。もう少し、カードをおさえて、プロダクションの方を前面に押し出すとメリハリの利いた、また記憶に残る演出となるような気がした。またせっかく後見がいるので、スチールなどでは、後見をもっと使えば変化に富んだプロダクションが演じられるのではないだろうか?もちろん、大変意欲的な演技には大変感銘を受けた。
タイトルは「おらは人気もの!」。「クレヨンしんちゃん」という人気アニメのテーマソングをBGMに軽快な、元気よい演技。舞台をがんがん踊り歩いて見せる。MMC及び、新潟見附マジシャンズクラブに所属されている。
@赤いケーンをもって登場。いつの間にか黄色いケーンも手にもっている。さらに、青、緑とケーンが増加する。
A皿回し。皿を回している途中で「いつもよりよけいにまわっています!」というコメント入りの幕を出す。
Bジャンボカードにコーヒーカップが乗る。今度はソーサーに乗せてみせる。裏側を見せて、親指でささえているのだと示し笑いを誘う。
Cソーサーにカップをのせて、はんかちをかける。ハンカチをとるとカップは消えている。この直後、タネをばらす。(詳細不明)
D紺色のスカーフから毛花の枝のみを出す。これに塩をふりかけると、花が2つ咲く。さらに紙吹雪をスカーフにかけると、スカーフは水玉模様になってしまう。
BGMが、ドラエモンのテーマソングに変わる。
E白いカードに縁がついているものを見せる。1万円札が印刷されたハンカチで、このカードを一瞬かくすと、カードの真ん中に本物の1万円札がはりついている。カードの縁は「額縁」状になっており、ドア状になった縁をおこして、中から1万円札を取り出す。
F丸いカード3枚にドラエモンが描かれており、もう3枚には黄色いドラミちゃん(?)が描かれている。これをクリップでロープにぶらさげていく。一度この状態でカードを重ねて、ドラエモンがプリンとされたハンカチでおまじないをかける。もう一度ロープを伸ばすと、ドラエモンとドラミちゃんのカードは1枚おきに交互にぶら下がっている。BGMが終わったところで、演技もぴたりと終わる。
表情もにこやかで大変明るいので、幼児にみせるのにはいいだろうが、どちらかというと年輩のマニアばかりが集まった会場でやられれば、やはりなんとなく違和感があり、ちょっとトンチンカンな印象を受ける。審査員の先生方も苦笑しておられた。ただ、それは氏の演技の評価を下げる理由にはならない。BGMと演技の内容には一貫性もあり、また演技はきちんと音楽に合わせて行われており、フィニッシュもぴたりと音楽にあっていた。現象もはっきりしており、子供たちがこれなら飽きずに最後まで楽しむことが出来る。いわゆる「キッズショー」というカテゴリーは日本ではまだまだ軽視されがちだが、意欲的な研究も一部ではなされているという。この演技もキッズショーを考えていく上では非常に参考になる。(特にしゃべらないで演ずるという点)日本奇術会のこのコンテストは、他のコンベンションのコンテストと違い、それぞれの方が、肩肘をはらずに普段見せているマジックをそのまま発表する傾向にある。これは大変すばらしいことで、コンテスト用に何ヶ月も前からそれだけを練習してきました、といった気負いも気取りもなく、非常に参考になる。皆さんの「素顔」の演技が見られる貴重なコンテストであると思う。
和服姿。「よお〜っ!」というかけ声入りのBGM。まずはたすき掛けをする。武蔵野マジシャンズクラブに所属されている。
@紐と赤い輪を示す。輪は2つ折りの紐の中央に瞬時に結びつけられる。いわゆる「月にむらくも」の状態で輪を外す。さらにもう一度紐と輪がつながったりはずれたり。(詳細不明)
A紐の演技。めがね結び。5輪。4つの結び目をつくり瞬時に消す。
B別のロープを取りだし、結び目をつくると結び目にシルクが現れる。シルクとロープの手順。シルクとロープを互いに結び合わせて、もう1本別のロープをからめる。シルクはあとからからめたロープに飛び移る。
Cロープからレインボーペーパー(紙のモール)。途中でモールを投げるとするするとモールは伸びていく。モールの中からファンテンシルク。その中心部から投げテープ。投げテープの1部を千切り紙吹雪に。
最初のたすき掛けをするところは、一番注目されるのだから、もう少し丁寧にやるといいのではないか。こういう所作は歴史的な「型」があると思われるので、是非研究されたい。マジック部分は大変よかった。リングとロープはどこかパズルになってしまう場合が多いが、ここではきちんと不思議さが示され、おもしろかった。簡単な道具で、ここまでお客さんを引っ張っていくのには、相当の経験が必要だろう。最後はとってつけたような感じもあった。
マジッククラブムーに所属されている。新聞の復活。販売されている道具を用いていらっしゃったようだった。復活した新聞の半分を手に残しておく。かみそりの刃を取り出し、新聞を切ってみせる。まずは4枚のかみそりの刃を、1枚ずつよくあらためて新聞紙を切っては1枚ずつ呑んでいく。さらに4枚、今度はスピードを早めて次々に呑んでいく。最後に糸を丸めて呑んでしまう。ミルクシリンダーから銀のコップにミルクをついで飲む。その後、口の中から糸をひっぱり出すが、その糸にはさきほど呑んだはずのかみそりの刃が一定間隔でぶらさがっている。
「ミステリアスシェーバー」というタイトル。新聞の復活から、かみそりの刃のあらためにつなげていくのは、よいアイディアであった。後半も非常にスムーズな演技であった。いわゆるこの種の「危険術」は最近見なくなったので、懐かしいという印象だった。宴会などでやればひどくうけるのであろう。かみそりの刃のスタンドというのが以前あったような気がする。手に取ったと見せかけて、刃はスタンドの中に格納されるのである。針を何十本も呑みこんで同じようなことをして度肝を抜いた外国人マジシャンもいた。ただ、こういった芸は、なんだかきたならしく下品であるような気がするし、子供さんが見れば真似するだろうから、演ずる場所を相当慎重に選ばなければならない。
羽村マジッククラブに所属されている。UGMで出している「レンコーン」という道具のようなものを持って登場。(手の中に収まるくらいの、正面から見ると扇形をした厚みのある箱のようなもの。)道具をあらためて、中から白とピンクのシルクを取り出す。1度あらためて、さらに黄色、オレンジ、黄緑のシルクを取り出す。もう1度あらためて、大きなクス玉が出現する。箱をたたんであらためた後、クス玉が出現する。またあらためて、今度はシャンパンボトルが現われる。グラスにシャンパンを注ぐが、グラスの手を離してもグラスは浮いたままである。先ほどの箱を取り上げ、あらためる。中から黒・黄・赤のつながった3枚のシルクを取り出す。さらに箱をあらためて、今度は5枚のつながったシルクを取り出す。この5枚のシルクに、テーブルの上の黒・黄・赤のつながった3枚のシルクを合わせると、中から黒地に花が描かれた大きなスカーフが現われる。さらに、シルクファン(7色のシルクがそれぞれ旗竿についており、その7枚がファン状に広がる。)が出現する。
タイトルは「夢の中で」。特別賞を受賞。箱自体のネタ場だけでなく、いくつかの方法を組み合わせてプロダクション現象を起こした点が評価できる。全体の構成もよかった。
羽村マジッククラブに所属されている。三味線のBGM。日本セイロ。あらためて黄色と緑のシルクを取り出す。もう1度あらためて、ピンクのシルクを取り出す。ピンクのシルクをセイロの中で消そうとするが、消えない。もう一度試みるとシルクの色が青に変化してしまう。セイロをあらためて、モールを取り出す。ここでセイロは一旦テーブルに置く。先ほど取り出した3枚のシルクを取り上げ、テーブルのセイロからはさらに2枚のシルクを取り出す。合計5枚のシルクを合わせると、中から金銀の大きな扇が出現する。セイロをあらため、またテーブルに置く。セイロから紫と黄色ののべシルク(途中で紫が黄色になる。)を取り出し、たぐったのべはテーブルに置く。さらにピンクののべシルクが現われる。テーブルののべシルクと合わせると、中から和傘が2本出現する。
タイトルは「雅」。日本セイロを軸にこれだけのルーティンが組み立てられれば素晴らしいと思う。ただ、セイロをテーブルの上においた状態で品物を取り出すというのは、損だろう。こういう場合は是非後見をつけたい。ネタのスチールなど、要になるテクニックをさらに丁寧に仕上げられ、実演経験を重ねられれば次第に完璧な演技に近づいていくのではないかと思われた。
八王子マジックグループに所属されている。黒い紙袋をあらためて、中からいわゆる「フローラルBOX」を取り出す。これは、透明な直方体の箱にバネ花が3つ入っているというもの。(UGMでは、スーパードリームバッグという名前で、同様のものが発売されている。)これを次から次へと16個取り出す。下手の後見は、手際よく取り出された箱をテーブルに積み上げていく。ステージを縦横に歩き回り次々に取り出していくのだが、BGMが途中で止まると、動作も止まったりして会場のお客さんを笑わせたりもする。袋のあらための後、さらに箱を4つ積み重ねてつなげたもの、6つ積み重ねてつなげたものが2つずつ出る。
最後に大きな旗竿つきの旗を取り出す。この旗で後見の女性を一瞬隠すと、女性の衣装は黄色から青に変化する。リングイリュージョン。柱の前に後見を立たせる。後見の胴体より一回り大きいリングをあらためながら、後見に通し足元から順に合計10のリングを柱に固定していく。後見はリングに閉じ込められた格好になる。旗でリングの中にいる後見の全身を隠し、そのままの状態で旗を持ったまま演者は下手に少しずつ移動する。少しずつ柱に固定されたリングが見え出すが、その中の女性はいない。
また、旗でこの装置を隠そうと、演者は上手側に少しずつ移動する。すると旗の陰から後見が見えてしまう。(後見が旗の動きに合わせて動かなかった。)これに演者は気づかないので、客席からは笑い声が漏れる。後見が完全に旗からみえてしまうが、演者はそれに全く気づかない。そこで、後見は笛をふく。演者はそれでやっと自分の失敗に気づき、旗で後見を慌てて隠す。次に旗を取り除くと、後見はさらに赤い衣装にはやがわりしている。
「出るわ出るわ、まだ出るわ」というタイトル。優秀賞受賞。これでもかと、畳み掛けるようにプロダクションを行なうのは悪いものではないが、お客さんがだれてしまわないような工夫が必要である。ここでは、BGMに合わせた演技によって、お客さんを引っ張っていった。後半のリングイリュージョンも、楽しい見せ方を工夫されていた。衣装がえは、いつも思うのだが、よほどうまい演出を考えないとつまらない。まして、衣装がどうも怪しげで、しかも安っぽいとすれば、それならはや変わりなどしないほうがよいのではないか?
八王子マジックグループに所属されている。バラを持って登場。赤いバラの花がぽろりと落ちてしまう。テーブルの陰に花のないバラの茎を一瞬隠すと、黄色いバラが返り咲いている。もう一度黄色いバラの花を取ってしまうが、やはりバラの花は返り咲く。
ブラックアート。三角の外筒には、窓が空いており中が見えるようになっている。中は丸い筒。この2つの筒をあらためる。中の丸い筒は完全に取り去ってしまい、外筒の窓にスカーフをからめる。このスカーフを取り去ると、突然筒の中にシャンパンボトルが現れる。2つのグラスにボトルからシャンパンを注ぐ。この直後にボトルからのべシルク(テープ状でストリーマーというもの。)を取りだし、こののべシルクはテーブルに置いておく。さらにもう1つのグラスにボトルからシャンパンを注ぐ。
スカーフからシャンパンボトルの出現。次々に3本出現する。テーブルの上ののべシルクを取り上げると、中からシャンパンボトルが現れ、しかもそのボトルが突然2つに分裂する。さらに赤い布をあらためて、中からシャンパンボトルを2本取り出す。1度布をあらためてさらにもう1本シャンパンボトルを出現させる。このボトルは目の前で2本に分裂する。
次々に取り出したボトルと、最初に用いたバラ(花瓶に生けてある)がテーブルにはたくさん並べられている。これらは実はテーブルの上のお盆に並べられており、このお盆を両手で持ち上げる。するとテーブルがぱたんと変形して、前面が開いて、2本のシャンパンボトルと2つのグラスがテーブルの上に現れる。持っているお盆は上手側のもう1つのテーブルの上に置く。バラの花を見て微笑み、香りをかぐジェスチャー。
「只今ソムリエ修行中」というタイトル。最優秀賞受賞。今年のSAMジャパン長崎大会に招待されることになった。全体として一貫性があり、よくまとまっていたと思う。最初のバラもテーブルを飾るという「語り」があり、全体の流れに溶け込んでいる。最後の「芝居」も非常に印象的であり、品も良い。最後には何かすごいことをしなければいけないという意識が感じられる演技が多い中で、キラリと光るものが感じられた。ブラックアートも大変古くからあるが、ここではスカーフを用いて一瞬にしてボトルを表したところは大変鮮やかであった。ただ、テーブルに置いたままで演技するとどうしても迫力がない。後見がいたらさらによかった。最後のテーブルの仕掛けはせっかくの上品な流れをぶちこわすもので、なんだか子供だましのように思われる。また、ネタのスチールがまだぎこちない部分が気になった。今後、さらに練習をつまれ磨きをかけていかれれば、大変素晴らしいルーティンとなることだろう。
興津マジシャンズクラブに所属しておられる。夫婦引き出し。沖縄民謡のBGMにはちまき姿。白玉を下の引き出しに入れると、玉は消える。(両方の引き出しをあらためる。)白玉は懐から現れる。同様に赤玉も消えて懐から現れる。紅白2つの玉を袂に入れると、下の引き出しから2つの玉は現れる。次に下の引き出しに水を入れる。その引き出しからは、のべシルク(テープ)が出現する。さらに引き出しの水をもとのグラスに戻す。
のべテープを木箱に入れる。ここから青、白、赤のシルクが出る。(詳細不明)木の枠にぶら下がった2つの赤いくす玉と同様な細工のしてある2つの白いくす玉が出現する。さらにのべから和傘が出現する。
タイトルは「夫婦引き出し」。単なる和風手品の枠を越えようという意欲が感じられたステージであった。優秀賞受賞。夫婦引き出しは現象が地味なので見せ方・語りが大変難しいが、その中で努力されたという印象はある。後半をどう盛り上げるかが工夫のしどころであるが、ここでは無難にまとめ上げられたという印象であった。
松戸奇術会に所属しておられる。透明のチューブを示す。四角い筒で、縦に半分に割れる。(ジニーチューブの様な感じ。)一瞬にして、チューブの中は赤いバネ花で一杯であり、取り出すときに紙吹雪が散る。もう一度あらためたあと、チューブは黄色いバネ花で一杯になる。取り出すとやはり紙吹雪が散る。
シルクを3枚示し、輪になるようにそれぞれ両端を結ぶ。(しかも3つの輪がチェーン状になるようにつなげる。)透明なチューブに入れる。チューブの中央の小さな穴からシルクを取り出すと、輪はばらばらになってはずれてしまっている。
水玉模様のスカーフをあらためて、中から黄色い毛花を2本取り出す。もう一度あらためたあと、さらに2本の毛花を取り出す。さらにあらためた後、スカーフからはモール状につながったくす玉が現れる。
シルクの振り出し。(5枚)この5枚のシルクから7色の大型ファンファンを2つ取り出す。さらにテープ状ののべシルクを投げ、その中から、2枚のシルクがつながったものを3つ取り出す。さらにそのシルクの中から毛花でできた傘を出現させる。
タイトルは「ひだまり」。どういう意味だかはわからない。にぎやかなステージでありお年寄りや子供さんには大変喜ばれるのではないか。演技自体はスチールなどあらっぽい点もあったので、コンテストとなると採点は厳しくなるかも知れない。何かを取り出すとき、私たちは比較的安易に「シルクの振り出し」をやってしまい、そのシルクから品物を取り出してしまうが、コンテスト用としては、なにか一工夫欲しいなと思われた。
茅ヶ崎マジシャンズクラブに所属しておられる。たぶんオリジナルなのであろう、座布団大の厚手の布を2つ折りにした用具を使っての演技。大変なオーバーアクションが笑いを誘う。「チンチン電車が通ります!」などと言い、やおら赤いシルクを投げ出す。このシルクを2つ折りの布に入れ再び取り出す。この赤いシルクを振ると次々にシルクが出現し、計5枚になる。赤いシルクだけ、2つ折りの布に入れ、布を開くと今入れたはずの赤いシルクは消失している。空中から赤いシルクを取り出す。
5枚のうちの黄色いシルクを取り上げ、2つ折りの布に入れると、瞬時に黄色いロープに変化する。このロープに2つの結び目が一瞬のうちにつくられる。さらに一度結び目を解いた後で、手にロープを巻きつけると一瞬のうちに3つの結び目が出来る。これをまた解く。
5枚のうちの青いシルクを取り上げ、三角に折り畳む。これを2つ折りの布に入れると、青い紙飛行機が3つ出てくる。これを1つずつ飛ばしてみせるが、みなとんでもない方向に飛んでいきあっという間に墜落してしまうので、お客さんは吹き出してしまう。 5枚のうちの、オレンジと緑のシルクを同時に2つ折りの布に入れ、布をぱっと広げると、5本の投げ花となりステージの床に刺さる。
西洋乞食のような、へんてこりんな帽子をかぶって登場したその瞬間から、お客さんはざわめいていた。紙飛行機が出てきた時には、そのとんちんかんぶりに唖然とさせられた。最後は2枚いっぺんに布にしまってくれたので、ほっとしたような気持ちになった。タイトルは「流れ星」。まあ、5枚のシルクがそれぞれ変化した、という「意味」は了解可能ではある。しかし、あとから思い出してみると大変印象が強烈であり、またほのぼのとしたおかしみもあり、決して悪い演技ではなかった。そこまで計算の上での演技だったのかと勘ぐりたくもなるほどである。
村上正洋氏が講評。女性の活躍を指摘された。また、演技のテンポに変化がない点は今後工夫の余地があるとのアドバイス。続いて表彰。上記の感想の通り。最優秀賞の打味氏には、興津マジシャンズクラブ会長の百瀬氏より、記念品・目録の贈呈があった。
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Update: 2000/4/4