第33回千葉大学マジックサークル発表会
The 33rd Out of This World
- Symphonia -日時:2004年12月11日(土) 開場18:00 開演18:30 終演17:50
会場:千葉県文化会館小ホール
入場料:無料
Update: 2004/12/12
6年ほど前から、母校千葉大の発表会を見続けていますが、ここ数年、精彩を欠いた印象でしたので、レポートを止めていました。今回は5年ぶりのレポートです。マジックブームのわりには、客の入りはあまり多くありませんでした。同日に早稲田大学マジッククラブの発表会が都内で開催されていた影響もあったのかもしれません。252席の会場の7、8割ぐらいの入りでした。
テクニックはまずまずですが、アピールの仕方がいわゆる学生アピール(静止時間が異様に長い)になっていて、演技に流れがありませんでした。閉じたファンカードがシルクの中で消失する現象は目新しくて不思議でした。
美少年風のルックスでそれなりの雰囲気を持つ演者でした。ただ、前の演者と同じ燕尾服スタイルでまた学生アピール気味なのも気になりました。
一転して、ユーモラスな雰囲気なのはよかったのですが、途中、完全に暗転になっても同じアピールスタイルの繰り返しには飽きました。現象を起こすタイミングをもっと大事に表現して欲しいと思います。
この演目は、東大奇術愛好会の影響を受けている和妻だと思いますが、狐のお面を使った部分に少し工夫がみられました。しかし、改めてこの演技を見たときに感じるのは、表現スタイルの不自然さです。全編を通して、表情ひとつ変えずに、ひたすら取り出したものを奇妙な身体の姿勢で示す演技は、どこか違和感を覚えます。次に演じる人は先輩の真似をするだけでなく、プロの和妻の演技をじっくり研究してみると良いかも知れません。
今回のショーでは紅一点の女性でしたが、群を抜いて良い演技でした。衣装、舞台セット、照明、手順、表情などトータルイメージが素晴らしかったです。クリスマスツリーに取り出したものを次々に飾っていくという趣向はよくあるパターンですが、魔法使いの魔女から最後にサンタクロースになって退場するまでのストーリーが見事に表現されていました。
お経のMGMとお坊さんスタイルで始まるダンシングケーンというのは、意表をつくものでした。身体の周りを何回もケーンが回るところは、奇妙な味が出ていました。しかし、お坊さんとケーンに何らかの必然性も感じられず、個人的には奇をてらう趣向だったという印象です。なお、ダンシング・ケーンの場合は、手順はもっと短くした方が効果的です。
途中、長めの金色のシンブルを加えたところに工夫がみられましたが、この演者も学生アピールの不自然さが目立ちました。どこの大学でも同じですが、シンブルの場合は特に違ったスタイルの表現法を研究して欲しいと思います。
落ち着いたステージマナーは、大トリ演者にふさわしいと感じましたが、キャンドルの部分のアクシデント?から、少し余裕がなくなった印象でした。また、エンディングの鳥かごのハトが大きな鳥に変わる現象は分かりにくかったと思います。
一生懸命セリフを考えて臨んだ様子がうかがえましたが、棒読み風の口調は、いま一つ心に響きませんでした。
全体を通して、もう一つ盛り上がりが欠けた印象でした。最も大きな要因は、演目数の少なさにあると思います。イリュージョンや定番のリング、ロープ、ゾンビ、パター(おしゃべりマジック)などがないのも寂しいです。1〜2年生の部員が多いので、来年は無理をしてでも演目数を増やして欲しいと思います。また、会場に子供たちがいないのも気になりました。現在はマジックブームなので、適切に宣伝をすれば、必ず観客は集まると思います。頑張ってください。
Copyright © 2004 Yasuo Nakamura. All rights reserved.
Update: 2004/12/12