Update: 2004/4/11
日本テレビ系列が、2004年4月10日に放送した『THEスペシャル!天功vs覆面マジシャン超魔術空前の大バトル』を見た感想です。
マスクマジシャンは、2001年6月16日に放送された『スーパースペシャル2001 噂の覆面マジシャンが禁断のトリック大暴露』で日本のテレビに初登場して以来、10月11日の「噂の覆面マジシャンVSプリンセス天功超魔術暴露バトル第2章」での再登場の後、12月28日の「噂の覆面マジシャン禁断のトリック大暴露〜戦慄の最終章〜」では、この番組を日本での最後の放送にすると語りました。
その後、2年半を経て再登場したわけですが、彼のマジックがどれだけ進化したのか検証してみます。
「マジックはトリックが暴かれたことによって進化する」と主張して、さまざまなトリックを暴露してきたマスクマジシャン(Valentino)がどれだけ進化したマジックを見せるのか、少しだけ注目しましたが、結果は無残なものでした。
タネを暴露したマジックは、過去の放送の使いまわしであり、新しいものは一つもありません。進化したという例に挙げたイリュージョンは、みな素晴らしいものですが、これらは決してマスクマジシャンがトリックを暴露したからではなく、それぞれのマジシャンが自ら工夫・努力して創作したものです。
マスクマジシャンが唯一実演した「日テレタワーの消滅」について言えば、20年以上前にデビッド・カッパーフィールドが創作した"自由の女神消失('83)"と比べて格段に劣っているのは明らかです。
また、日本テレビの番組制作手法も全く進化していないのにあきれました。「トリックを推理しながらご覧ください。」というテロップを繰り返し流し、タレントにタネを見破らせようという演出の古さには言葉もありません。
6年前に米国テレビ界が取り上げたマスクマジシャンの暴露番組とその後の教訓について、もっと学んで欲しいと思います。
現在、米国では今年の6月に新装オープンするフーディーニ博物館(ウィスコンシン州アプルトン)でフーディーニのイリュージョントリックが公開される計画があり、新たな問題が起こっています。しかし、米国奇術界は、この計画に対して、多くのマジシャンが一致団結して反対しており、マーク・ウイルソン師、デビッド・カッパーフィールド師、ウォルター・ブラニー師、マイケル・アマー師ら著名マジシャンが堂々と抗議活動を展開しています。日本の状況との落差を残念に思います。
2004年4月11日 中村 安夫
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Update: 2004/4/11